黒闇
それは黒闇の山道に突如現れた
「あっ今の?」
「左に!」
通り過ぎた3台の車が慌てて路肩に停まる
「あれだよね・・」
「戻ろう」
それぞれUターンした3台の車は”それ”の少し開けた場所に頭から突っ込みライトを暗闇の向こうにあるであろう崖に向け停まった
「ここか」
「雰囲気やばいな」
「ここ?」
「腰が痛い」
思い思いに沈黙を切り裂き9人は車を降りた
車のエンジンはかけたままである
ライトも付けたままだ
”おいらん渕”
そう書かれた古い案内板はかろうじて車のライトに照らされ、その傍らに慰霊の塔が佇んでいた
案内板にはここで過去にあった壮絶な悲劇の伝承が記され、それはここが我々の目指していた目的地であるということを確信させた
「おい、これ見てみろよ・・」
そして慰霊塔の土台に無造作に供えられた小銭は見てわかるそれなりの額でありながら、手を付けた形跡はなかった
そこには紙幣が混ざっていた
不届き者であるならば、この賽銭に手を付けてもおかしくないだろう
しかし、明らかにそれは”ありのまま”であった
そういう空気じゃない
そういう空気じゃないのだ。
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