黒川千軒
鶏冠山(けいかんざん)という山がある
この山の中腹には、戦国期武田氏の金鉱脈があった
当時、金は対外的な流通通貨としての価値が高く、その生産量はすなわち国の力と直結したといっても過言ではない
黒川金山と呼ばれるこの場所は、武田の領内にあってその規模も採掘量も最大と言ってもいいほどであり、武田晴信(信玄)の頃にその最盛期を迎えたといわれている
金山の経営は、大名の直轄ではなく金山衆(かなやましゅう)と呼ばれる専門の集団からなる一団でその管理をほぼ賄っていた
近代の発掘調査から、最盛期の武田晴信時代、その人口は千人ほどの規模を誇ったといわれ、あまり知られていないが、今や人がほとんど踏み入れることもないその山中には現在もなお多くの遺構がそのまま残っているという
佐久の城で捕らえられた女性たちはこの金山に送られた
鉱夫としてではなく
鉱夫の慰みとするためにである
生まれ育った郷土、親兄弟から引き離され、行く先もわからぬ山越えの道中をひたすら歩き連れてこられた彼女たちを待っていたもの、それは彼女たちの目にどう映ったことだろうか
近年、黒川千軒の調査においては、当時のものと思われる”かんざし”が発掘されているが、これが彼女たち”遊女”のものなのかは定かではない。
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