祝福

探索者ギルドへ入ると、そこは人とゴーレムでごった返し、部屋の奥には、わかりやすい受付と、モカさんとそっくりな女性が。


「はじめまして。探索ギルド受付係員のマキです。本日はどのようなご用件ですか?」


「さっき、モカさんにここに行けと言われたんだが。」


「はい。モカから聞いてます。ゴーレムを知らない珍しい転移者が来たって。お待ちしていました。加耶さん。」


なんで俺の名前を知っている?

さっき書いたっけ…?

まぁいいか。


「はい。確かモカさんは、ここでギフトを受け取れって。」


「はい。普通は10歳で受けるのですが…プッ。あっ、すみません。絵面がシュールすぎてwww」


俺には分からない感覚だ。

改めて元いた世界とは文化が違うんだと実感した。

待てよ。ここは異世界なのになぜ言葉が通じる?普通に考えればおかしい。今更ながら、そんな疑問が頭をよぎった。

その疑問をぶった斬るように、マキさんは


「では、教会に案内します。着いてきてください。」


案内された先は教会というより、集会所という感じで、その中央には巨大な金属の塊が置いてあった。

その金属の前にはに10人くらいの10歳程の男児達がいた。


「今日祝福を受ける人、他にもいたんですね。少し待ちましょう。」


そもそも何をすればいいのか分からない俺としてはありがたかった。

始め、1人の男児が、金属に手を当て、

「創造者よ、我が呼び掛けに答えよ」

と、厨二臭い台詞と、満天の笑顔を披露した。

すると、金属に急にヒビがはいり人間の頭2個分くらいの大きさに欠け、ゴトンという音と一緒に地面に落ちた。

すると、その欠けた金属はみるみる変形し、尾の長い猿のようなゴーレムになった。

男児達は騒ぎ出す。

俺も今から、ああやってゴーレムを得ると考えると胸が踊った。

ほかの男児たちも同じように行うと人型だったり火を自在に操れるようになる指輪だったり、様々なゴーレムを生み出していった。

とうとう男児達も終わり、自分の番が来た。

緊張と興奮が混じり合う。

マキさんは

「彼らと同じようにやってみて下さい。」

少しビビりながらも金属にに手を当て、

「創造者よ、我が呼び掛けに答えよ。」

すると…!!

なんと、何も起こらなかった。

「えっ?」

期待していた分驚きが声に出てしまう。

「あれ?詠唱も合ってましたし、既にゴーレムを持ってでもいない限り有り得ないはずなんですが…」

もう一度

「創造者よ、我が呼び掛けに答えよ。」

と言っても何も変わらない。

あまりに悲しく、その場で膝を着いた。

「だ、大丈夫ですよ伽耶さん。ほとんどゴーレムに頼らない探索者もいますし、ゴーレムを真似て作った武器だって有ります。」

俺は、ゴーレムが貰えないことにピエンなんだが、彼女のフォローは少し助けになった。







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