黒猫がいる日々

黒本聖南

至福の一時

 黒猫といえば、幸せを呼ぶとも、不幸を招くとも、好き放題言われているが、黒蜜夜花くろみつよるかの傍にいる猫は、どうやら彼女を幸せにしているようだ。


 去年から一人暮らしを始めた彼女に、現在恋人はおらず、その日は特に友人と約束をしていなかったので、仕事を終えると真っ直ぐ家に帰ってきた。

 明日は休日、予定もなし。時間も気にせず、録り溜めた番組を観たり、動画配信を観たり、酒をあおり、菓子を摘まみ、指の汚れを取ってから、膝に凭れ掛かる黒猫を撫でる。ぬくい。

 まだ暑苦しさはなく、むしろ離れると淋しさすらある。たまにぷにぃと鳴くのが可愛いが、猫の鳴き声はそれで合ってるのか?

 どちらでもいい。


 この一時を幸せと言わずして、何と言うべきか。

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