帰り道は大回りで

 突然だが、私は関東の渋滞が嫌いだ。車が多すぎるので渋滞や事故も多発するし、イライラしているのか乱暴な運転も多いように思える。

 なので、今回の旅は時間もありますから大回りで帰ろうと思う。計画は、新潟まで日本海沿いを北上し、新潟からは福島を横断。そして、茨城から南下して千葉に帰る予定。木曜日3日後から雨なので、水曜までに帰宅する予定で行こうと思う。



 まずは新潟方面へ出発。昨日は富山に宿泊したので、右手には雪化粧をした立山たてやま連峰が見える。実は今日、ビーナスラインへ行こうかと思ったが、通行止めが多かったので断念したのだ。この雪を見ると長野はまだ雪に閉ざされているのだろう。この雪景色を見ると、行くのを止めて正解だった。


 富山から新潟へ順調に走り、親知らずを通る。「親知らず子知らず」と言ってお互いがお互いを気遣う余裕のない難所だったらしいが、今では当時の様子は窺い知れない。現在は洞門になっていて安全に交通できる。便利になったのは良いが、なんとなく寂しいのは私だけだろうか。



 道の駅「マリンドリーム能生」で昼食。海鮮丼は1500円するが、カニ、甘エビ、ノドグロがたっぷりと乗っている。甘エビは子持ちで、カニはむき身だけでなく殻付きの足も乗っていて、得した気分だ。みそ汁にもカニが入っており贅沢だ。

 ここはカニ三昧な道の駅。外では「かにや横丁」。カニが一杯単位で売っていて、買ったら出店でみせ前のテーブルで食べられる。一番小さい物で1600円くらい。カニの相場としては安いのだが、海鮮丼で満腹だったので今回は諦めた。



 海沿いの道をしばらく走り、また道の駅で休憩。道の駅「ながおか花火館」。知らなかったが、どうやら長岡市は花火で有名なようだ。花火の展示館があることが特徴だ。実寸代の花火模型や打ち上げ装置、映像による花火を楽しめる。

 こういう道の駅は好きだ。地域の魅力を発信するを大切しているのを感じる。せっかく施設を造るなら、こんなふうに地域のために活用するのが道の駅らしい在り方だろう。

 もちろん、土産屋も充実していた。新潟は米所で酒が多く、海産物も有名なので、飲食類にも魅力が詰まっている。酒飲みにはたまらない環境。米から作ったお菓子も豊富で見ていて飽きない。



 新潟で宿泊のため、越後七浦シーサイドラインで海沿いを走る。時刻は18時。途中、弥彦スカイラインの看板を見つけ行ってみるが、バイク通行禁止。代わりにきれいな夕日が見えた。途中にあった駐車場を借りて写真を撮って一服。鳥の鳴き声、虫の音、海と夕日のコントラスト。最高のロケーションだ。シーサイド海沿いを走るには絶好の時間。

 黄昏時、夕日が沈むのを眺めながらゆっくりとバイクを走らせる。トンネルを抜けると、海の向こうに陸地がうっすら見える。佐渡島だろうか。想像よりも大きく、島というより大陸のようにも見える。ここにも一度行ってみたいが、今回はお預けだ。また次回の楽しみが増えた。



 翌日は新潟を出発し、福島を横断する。日本海と太平洋を繋ぐ国道49号を走る。この国道は一種のロマンだ。日本列島を横断して、太平洋まで海を繋ぐ国道。行き先の山を見ると、薄っすら雪がかかっている。国道49号のライブカメラで確認したところ問題は無さそうだが、用心だけはしておく。杞憂に終わることを願いたい。


 結局、心配は杞憂に終わった。道路に積雪はない。道端には雪が残っているが大した量でもない。少し寒いが、それも痩せ我慢の領域だ。

 ライダーは見栄っ張り。少し寒くても、薄着をしてしまう。ブクブクと着膨れしていると格好悪い。愛車バイクは格好いいから、自分も格好良くありたいのだ。



 昼過ぎには、道の駅「ばんだい」へ到着。地元のライダーから、磐梯吾妻スカイラインは冬季閉鎖なことを知る。スカイラインを通って福島で一泊しようと計画していたのだが、当てが外れた。

 代わりに猪苗代湖の湖畔道路を走る。この道を走ると、夏の記憶が蘇る。あの時夏のツーリングは、悪天候で泣きそうになりながら走った。それでも猪苗代湖は綺麗だったという記憶がある。今思えば、懐かしい思い出だ。あの頃はまだ旅に慣れていなくて、一喜一憂・右往左往していた。それでも楽しかった。

 そして、今回の旅も前回と劣らず楽しさに溢れていた。



 ここで、旅の終わりを確信した。今回の旅はここで終了。福島県から自宅まで下道で約6時間。あとは安全運転で帰るだけだ。


 無事に帰るまでがツーリングだ。

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