9/25(土) 道を間違えただけなんだ、文字通り

「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!俺はスカイラインを目指して走っていたと思ったら、いつのまにかスカイラインを走っていた。。な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。」

 ポルナレフ風に表現するとこんな感じになる。本当に我ながら意味が分からなかったのだ。

 箱根ターンパイクを抜けた私は、そのまま芦ノ湖スカイラインを目指して走っていた。15分ほど走った後、スカイラインの入口に入り、料金を払って走り始めた。スカイライン入口の写真なんかも撮ったりした。しかし、走り始めてみると、なんだか見覚えがある気がする。道の具合というか、カーブの様子や周りの景色に既視感がある。途中の駐車スペースにバイクを停め、景色を見ると、ようやく気がついたのだ。

 今思えば、違和感や心当たりは沢山ある。例えば、青看板に従って走っていたのだが、の文字しか見ていなかったこと。事前に調べた道とは違う、有料道路を走ったこと。スカイラインの入り口では、芦ノ湖の終点である御殿場が目的地になかったこと。そして、熱海や天城高原など、伊豆半島の南側が目的地として書いてあったこと。

 これだけ沢山のヒントに気がつかなかったのだ。これでは、無計画ではなく、ただのアホである。

 そして、トラブルはまだ続く。ガソリンがないのだ。スカイラインに入ってすぐ、給油ランプが点滅を始めた。ガス欠になったら洒落にならない。しかし、私は料金所でとりあえず一番遠くの終着点を選んでしまったのだ。伊豆スカイライン終点の天城高原までは約40kmもある。途中で降りれば良いのだが、持ち前の貧乏性が邪魔をする。もったいないから最後まで走ろう。

 伊豆スカイラインでの天気は最高だ。今年の春に走った時は曇りだったので、リベンジを果たした気分になる。しかし、ガス欠が心配で、心の底から楽しむことが出来ない。とりあえず、急な加速をしないように、慎重に走る。減速だって、できる限り少なくする。

 そんなこんなで、どうにか市街地へたどり着いた。もう疲労困憊である。精神的に疲れた。

 伊豆スカイラインを出てすぐのガソリンスタンドに寄る。なんとここは、レギュラーが169円もする。しかし背に腹はかえられぬ。安いガソリンスタンドを探すのも面倒なので、満タンまで給油する。大体12L入った。私の愛車YZF-R25は14L入るので、まだまだ走れたようだ。リッター40kmほど走れるので、海沿いの伊東までは問題なく行けた計算だ。案の定、伊東の街ではガソリンが149円だった。失敗だ、かなりの損をした。


 その後は伊豆半島の東側、海沿いの国道を走り、熱海へ行く。初めて通る街だが、第一印象で坂が多いと思った。海のすぐそこに山の斜面がある。景色がよく、温泉もあるらしい。たしかに、新婚旅行に選ばれたのもうなずける。私の中で熱海は、某ゲームとコラボした記憶しかないのだが、すごく魅力的な街に思える。

 余談だがこのコラボ企画とは、一人で宿泊しても、お二人様で扱ってくれるというものだ。某ゲームを知らない人には意味不明だろうが、オタクの中では一時期モンハンと並ぶ人気のあったゲームである。知らない人は調べてみると面白いかもしれない(熱狂的信者に怒られないために、ここら辺でこの話は終わりにしておこう)。


 そして、熱海を抜け、今度のこそ芦ノ湖を目指す。現在時刻は14時。本来の予定だったら、今頃帰途についていたはずだ。しかし、文字通り、道を間違えた程度で諦めてしまったら、男が廃る。

 残念ながら、帰宅は夜になりそうだ。明日から出張だが、気合いで乗り切ろう。出張用の荷物準備もできていないが、根性さえあればどうにかなるはずである(たぶん)。


(続く)

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