第2話 古着

 古着を買った。

 何の変哲もないカーディガンだ。


 ある時、洗濯物をベランダに干し終わってカーテンを閉めると、カーテンの向こうに人影が現れた。

 慌ててカーテンを開けるがベランダには誰もいない。

 そんな事が何度も起きるので、私はたまらず友人に事情を話して家に来てもらった。


 友人は部屋に入るなり、ハンガーラックにかけてあった例のカーディガンをとって、ベランダの物干し竿に引っかけた。

 何も言わずにカーテンを閉めると、人影が現れた。

 丁度カーディガンをかけていた場所である。

 その人影は、首の辺りを支点に左右にゆらゆらと揺れていた。


「売るか捨てるかした方がいいよ」

 と、友人が言った。


 私はすぐにそのカーディガンを手放した。

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