活き活きとしたキャラクターたちを追いかけたくなる

キャラクター小説としてのお手本を目の当たりにしたような感じがします。
主人公もペーターもミチャも(その三人が揃うところまで読んでいます)、人柄が想像でき、セリフや行動のひとつひとつがすっと馴染みます。キャラ造形の妙が光ります。だからなのか、想像をしていなかった行動が嬉しい驚きに感じられ、そのキャラの新しい一面を見れたことに喜びが生まれます。
主人公の人物観察眼も秀逸で、端々にキャラを愛でる感想が入るのが愉快です。同時に読んでいるこちらもそれに頷いていることに気づきます。そういうポジティブなものの見方がペーターの「悪いことが起こらないんじゃないか」というセリフに表れているような気がします。
少しだけ登場するキャラも愛すべき存在たちで、まさに「生きている」という感じがします。

私が読み終えた個所はまだまだ物語の序盤ではありますが、謎の空中戦が繰り広げられたり、ここがどこなのかも分からない中、主人公の魔法が拠り所となって先々の冒険が進んでいくことが想像でき、楽しみが広がります。また、ユウト先輩の不可解な様子なども気になるところです。そういった先の展開への引き込み方も素晴らしく、ついつい読み進めてしまいます。今回は時間の関係で、途中で一旦読むのを止めることにしましたが、またこの物語に戻って来たいと思わせてくれる魅力に溢れています。

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