第46話 ショッピングデート
「今日は朝から快晴で、デート日和だな。」
俺は家の外に出て顔の前に手をかざして雲一つない青い空を見上げながら言った。
今日は夏休みの最後の大イベント夏祭りが来週に近づいてきた。
夏祭りに着ていく浴衣を選んでレンタルするためにお店に一緒に向かうことになった。
何故外にいるかというと、美玖が着替え中に盛り上がったら遅れちゃうから先に玄関で待っていてほしいと言われてしまったのだ。
「猛、お待たせ〜。」
美玖が玄関から出てきて鍵をかけてから俺の所まで歩いて来た。今日はフリルの付いた黒色のオフショルダーに赤いミニのフレアスカートを合わせていた。
「大丈夫。そんなに待ってないからさ。今日も可愛くて似合ってるよ。」
「えへへ♪ありがとう!猛も今日もカッコいいよ。」
「はは、ありがとう美玖。よし、それじゃあお店に向かいますか。」
「うん!」
俺の言葉に美玖が眩しいくらいの笑顔を浮かべながら頷いた。
そのまま俺の腕に美玖の腕を絡ませてきた。
美玖と腕を組んで歩くのは幸せな時間だ。夏だからくっついたら余計暑くなってしまうけど、俺と美玖は暑さなんて気にならなかった。
「今日は夏祭りに着ていく浴衣のレンタルが目的だけど、美玖は他に何か買いたい物はある?」
「う〜ん……今は特に無いかな〜。今日は浴衣を選んだらウインドウショッピングしない?せっかくのデートだし、浴衣のレンタルだけじゃもったいないよね!」
「俺も買いたい物はないから、浴衣を選んだらゆっくりとショッピングモールの中を見て回るか。まずは、最初の目的を達成しちゃいますか!」
俺と美玖は浴衣のレンタルも可能なお店に入った。
「浴衣って色々な種類の柄があるんだなー。」
俺は浴衣の柄や色などさまざまな種類の浴衣に圧倒されていた。ここまで沢山の種類があるなんて知らなかったな。
「ねえねえ!猛はどれが私に似合うと思う?」
「うーむ、そうだなぁ……少し待ってくれ。真剣に悩みたい。」
「猛が選んでくれるならいくらでも待つよ!」
俺は美玖に似合う浴衣を真剣に選んでいた。
「……あっ、これが良いかも。美玖、ちょっと試着してみてくれないか?」
俺は沢山ある浴衣から白い浴衣に水色のアマリリスの花がデザインされている浴衣を指差した。
「わぁ!可愛くて綺麗だね!うん!じゃあ試着お願いしてくるね!」
美玖は近くにいる店員さんに近寄っていき試着室に向かっていった。
俺は試着室の前で美玖が出てくるのを待っていた。
「じゃーん!どうかな?似合ってる?」
「………。」
「……あれ?猛?おーい!」
「………はっ!!」
試着室から出てきた浴衣姿の美玖に見惚れて言葉を失っていると美玖が俺を覗き込みながら可愛く手を振っていた。
「あぶねー……浴衣を着た美玖が可愛すぎてフリーズしちまった。……いっそのこと親父に頼んで浴衣を買ってもらった方が良いかな?そうすれば浴衣が汚れても平気だし……いやでも、高いからなー。だがしかし!!浴衣姿の美玖とシてみたい!浴衣を着崩した時に見える白くて綺麗な足や浴衣から覗くうなじ部分とかを眺めて愛でたい!!」
「ふえっ!?〜〜〜〜〜っ!!もう!猛のエッチ!!……でも、猛がそこまで気に入ってくれて良かった……のかな?……猛、本気でお義父さんにお願いしたらダメだよ?……待って待って!電話しようとしちゃダメ〜〜!!」
美玖が俺を止めようと必死になっていたけど、俺は美玖の静止を振り切って親父に電話をして頼み込んだ。
結果はまさかのオッケーが出てしまった……そのかわりにアマチュアのボクシングの試合に出場しろって言われたけど……美玖の浴衣姿とデきるなら試合なんて全然苦じゃない!!
……これから龍兄の練習が更に厳しくなりそうだなー。才能が無い俺は死に物狂いで這いつくばりながら頑張るさ。
美玖の浴衣姿を家でも見れるひゃっほーー!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます