HERO

第7話 バイオハザードが起きた

ラジオを通じて、慌（あわ）ただしい声（こえ）が聞（き）こえてくる。

「緊急（きんきゅう）です！ゾンビが現れました！」　

「突如（とつじょ）現（あらわ）れたゾンビの群（む）れが、人間（にんげん）を襲（おそ）っています！」

「メーデーメーデー！ヘルプミー！」

「どうしてこうなった…」

宇宙人（うちゅうじん）の事件（じけん）から数日後（すうじつご）、宇宙船（うちゅうせん）が地球（ちきゅう）に墜落（ついらく）していた。

すぐさま各国（かっこく）は宇宙船（うちゅうせん）を調（しら）べ、宇宙船（うちゅうせん）からさまざまな物（もの）を持（も）ち帰（かえ）って研究（けんきゅう）した。

その際（さい）に起（お）きた事故（じこ）で、人間（にんげん）がゾンビになるウィルスが外（そと）に漏（も）れ出（だ）した。

ゾンビウィルスは人（ひと）を介（かい）して拡大（かくだい）し、僅（わず）か数日（すうじつ）で地球（ちきゅう）はゾンビで溢（あふ）れかえった。

「急展開（きゅうてんかい）すぎる！！」

「いや〜まいったな」

「そんな事（こと）言（い）ってる暇（ひま）があるなら手（て）を動（うご）かして」

俺達（おれたち）は学校（がっこう）で生（い）き残（のこ）った人達（ひとたち）とバリケードを作って立（た）て籠（こ）もっている。

「どうにか出来（でき）ないのか静（しずか）」

「私（わたし）の家（いえ）に行（い）けばなんとかなるぞ」

「宇宙人（うちゅうじん）も倒（たお）しちまったお前（まえ）の言（い）うことだ…信（しん）じるぜ」

「だったらまずは……ゾンビをなんとかしないと」

学校（がっこう）にもすでにゾンビが来（き）ていた。

バリケードのおかげでなんとかなっているが、それもいつまで保つか……

「危険（きけん）は外（そと）だけじゃねぇ、あれを見（み）ろ！」

静（しずか）が指（ゆび）さしたのは、四人（よにん）の生存者（せいぞんしゃ）。

「まず一人（ひとり）、ゾンビに噛（か）まれているのに隠（かく）す奴（やつ）！服（ふく）を伸（の）ばして隠（かく）そうとゴソゴソしているのが特徴（とくちょう）だ」

「今（いま）すぐ追（お）い出（だ）さねぇと駄目（だめ）な奴（やつ）じゃねぇか」

「隔離（かくり）しておきましょ」

「まだいるぞ、なんか危（あぶ）ない思想（しそう）にハマった奴（やつ）！頭（あたま）に二本（にほん）のツノを刺（さ）してんのが証拠（しょうこ）だ」

「ああ神（かみ）よ！哀（あわ）れな信者（しんじゃ）に救（すく）いを！！」

「手遅（ておく）れね…隔離（かくり）しておきましょう」

「そして三人目（さんにんめ）、国（くに）の特殊部隊（とくしゅぶたい）……と見（み）せかけて実（じつ）は外国（がいこく）のスパイ！ゾンビウィルスを隠（かく）し持（も）ってるはずだ」

「バレちまってたか……じゃあ死（し）んでもらおうか」

スパイの男（おとこ）が俺達（おれたち）に向（む）かって銃（じゅう）を向（む）けた。

だが弾（たま）が発射（はっしゃ）される事（こと）は無（な）かった。

「こんな事（こと）もあろうかと、銃口（じゅうこう）に柔（やわ）らかい餅（もち）を詰（つ）め込（こ）んでいて良（よ）かったぜ」

「今（いま）だ取（と）り押（おさ）さえろ！！」

その場（ば）にいた生存者（せいぞんしゃ）全員（ぜんいん）で、スパイを取（と）り押（お）さえた。

「そして最後（さいご）の一人（ひとり）、一番（いちばん）厄介（やっかい）な奴（やつ）だ……」

静（しずか）の顔（かお）には汗（あせ）が流（なが）れていた。

「悪（あく）の組織（そしき）にゾンビウィルスを打（う）ち込（こ）まれて、生物兵器（せいぶつへいき）になった奴（やつ）」

今（いま）までなんともなかった生存者（せいぞんしゃ）が、巨大（きょだい）なゾンビに変貌（へんぼう）した。。

「ウグァァ……！！」

「にげろー！！」

俺達（おれたち）は一斉（いっせい）に逃（に）げ出（だ）した。