僕、幼馴染くん?と同居してます

結月綾斗

第1話 僕の幼馴染

 僕は、陽キャでも陰キャでもない。成績はあまりよくないし、顔がとてもイケメンなわけでもない。ファッションセンスが極めて良いわけでもない。極々普通の高校生である。そんな僕、坂下成にはひとつだけ普通でないことがある。


「成、次移動教室だぞ。」 

「あぁ、今行く。」

僕は声をかけられ急いで教科書の用意をし、慌てて後を追いかける。

「成、なにをぽやぽやしてんだよ。」

「ぽやぽやなんかしてないよ。」

てかぽやぽやってなんだよと心のなかでツッコミをいれる。

 今話しかけているのが僕の幼馴染。僕の普通でない元凶である。 

短髪ではあるが短すぎないぐらいの長さで多少セットはしているがナチュラルな感じだ。目は大きくかっこよさを際立たせている。


「律くん、今日一緒に遊ばない?」

「カラオケとかどう?」

数人の女子に囲まれ遊びの誘いを受けている律。

「ごめんね。俺、今日用事あるんだ。」

「いつもそう言って誘い断ってんじゃん。」

集まってた女子がそんな不満を漏らした。

「ほんとごめんね。でもみんな可愛いから俺なんかを誘うよりもっと他にいい男いると思うよ。」

そんな言葉に集まっていた女子たちは顔赤らめている。どうやら可愛いという言葉に反応したらしい。

「俺移動教室だから。またね。」


 そう言って律は僕のもとに戻ってきた。

「ごめん。待たせたな。」

「りっちゃん。相変わらず人気だね。」

「学校ではその名前で呼ぶな。」

律は誰かに聞かれたのではないか辺りを見渡している。

「ごめんて律。」


 先程からイケメンオーラをぷんぷんに醸し出している。正直男の僕から見てもかっこいいため女子に囲まれる理由もわかる。一回くらい僕もちやほやされてみたい。おっと、願望が出てしまった。と言っても僕も男である。


 見苦しい願望をかき消しているうちに移動教室についた。授業も程々に受け、今日の授業は終了した。


ホームルームも終わり帰りの用意を始める。

「成、帰るぞ。」

「そうだな。僕も用意できたし。」

そして二人は校門を出た。



 帰り道

「成、今日の晩ごはん何がいい?」

「あーそうだな。オムライスがいいな。」

この会話は日常茶飯事である。


「朝、冷蔵庫見たらたまごなかったからスーパーに寄ってもいいか?」

「それだったら他のでもいいけど。」

たまごだけに手をわずらわせるのは悪いと思った。

「いやどっちにしても冷蔵庫の中身なくなりかけていたし、今日まとめて買い物してしまうからいいよ。」

「それなら。」


気を使ってくれたのか僕はその言葉に甘えることにした。

「その代わり荷物持ちよろしくな」

いや、そんなことはないかもしれない。

 

 その後、僕はめちゃめちゃ荷物持ちとして働かされた。

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