第11話:最低な解決策2

「なるほど。お前、相当ヤバいとこにいるんだな」


 私は知っている限りのことを三人に話した。


 忌み子を葬る手段というのは、みんな知らなかったようで一様に驚いていた。


 私がその為の生贄として連れて来られたことや、ドラゴンアイとか言う水晶で覗きみられること。そして、その……、生贄は純潔でなければならないことも……。


「それにしても、司祭がねぇ。忌み子を葬るったって、今コイツに倒れられたらマズいってのは、アイツも分かってるはずだけどなぁ」

「そうなの?」

「この国が今、戦争状態だってのは知ってるよな?」

「ええ。もちろん」


 私だってこの国の人間だ。もちろん知っていますとも。


 大陸にある帝国が、どこかの半島を攻めるついでとばかりに、ちょっかいを出して来たのがきっかけの戦争。


 帝国からすれば、行きがけの駄賃程度にしか思っていなかったのかもしれないけど、この国は未だにその侵攻を退けている。


「コイツ、バカで気も利かねぇくせに、いくさだけは上手いんだよなぁ」

「……バカも、気が利かないも余計だ」


 へぇ〜。アルマって強いんだぁ。


「何にしても、今コイツに居なくなられると、この国は立ち行かないのさ。だから、王もあんなド派手なことしても大目に見てくれただろ?」


 あぁ、そうですね。あんなド派手にお持ち帰りされると思ってませんでしたね。


 それにしても、忌み子と避けられている一方で、軍を指揮してるってどう言うことなんだろ?


「あの、アルマ王子って、今はどんな立ち位置なんですか?」

「おい、やめろ。お前に王子って言われると何か気持ち悪い」


 人の折角の気遣いを気持ち悪いだってぇ!

 もうちょっと、言い方ってもんがあるでしょう?!


「白髪の忌み子って言えば、王宮内じゃ知らない奴はいないけどな。忌み子にはもう一つ、戦神が付いているって伝説があるんだ」


 シドさんの説明を聞いて、そう言えば薄っすらと覚えているような気がする。確か戦神への供え物って言われてたよなぁ。私。


「だから、王宮の外じゃ白髪の王族は、軍神として英雄視されているんだよ。いくつか伝説や言伝えも残ってるしな」


 そうか、王宮の中と外で扱いが逆なんだ。


 英雄の伝説はいくつもあったけど、どこかで聞いたことがある。


 ――呪いと祝福の英雄。

 あれって、どんなお話だったけ?


「俺の話はいいんだよ! それよりコイツだろ」


 アルマがしびれを切らしたように話題を変えた。

 あ! コラッ! 人に指を指すんじゃない!


「まぁ、そのうち良い解決策が出てくるんじゃないか?」

「そんな悠長な事を言っている場合ではありません! これは、由々しき事態です。この娘が死んでしまうと、アルマも死んでしまうのでしょう」


 気楽なシドさんに、冷静なハルさんがツッコんでいる。なるほどなぁ、この二人も相性がいいのかもしれない。


 そんな二人のやり取りを、少し離れたところでアルマが呆れたように見ている。

 いや、何かを言いたそうにソワソワして、タイミングをうかがっているのかなぁ? アレは。


「何だよ、お前ら。解決策なんて簡単なことじゃねぇか。なんで思いつかないんだ?」


 ほほぅ。やけに自信ありげじゃない?

 どれ、聞いてあげましょう。


「コイツが純潔じゃなければいいんだろ?」


 ……。

 …………え? 何だって?

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