第22話 医療のあり方②

「そういえば、サクラ先生はジン先生とはお知り合いでしたか?」


 病院長が私に尋ねてきた。


「はい。討伐任務の時に一緒に治療に当たりました」

「そうですか。彼もうちの非常勤医師ですので、わからない事があったら彼に聞くといいですよ」

「分かりました。ありがとうございます」


 新しい職場に知っている人がいると言うのは心強いものがある。

知っている人がよかったなと一安心した。


「今日は病院の中を案内させましょう。せっかくならジンも出勤しているので彼に案内させますね。知っている人の方がサクラ先生も安心でしょう」

「助かります」


 院長先生の気遣いは本当にありがたいと思う。


 数分後、院長室の扉をノックする音が聞こえてきた。


「ジンです。お呼びだと伺って参りました」

「入ってください」


 院長の言葉で、ジンが扉を開けて入ってきた。


「サクラ先生!」


 ジンは私の顔を見るなり、笑顔に変化した。


「こんにちは」

「サクラ先生もここにお勤めになるんですか?」

「はい。陛下よりご紹介いただきました」

「そうだったんですね! これからよろしくお願いしますね」


 私はジンと握手を交わした。


「盛り上がっている所悪いんだが、サクラ先生に病院内を案内してもらえるかな? 今日はそれが終わったらサクラ先生は上がりでいいから、明日からお願いします」


 院長がジンに向かって言った。



「す、すみません! サクラ先生をご案内してきます! 行きましょうかサクラ先生」

「はい、お願いします」


 私はソファーから立ち上がった。


「では、行って参ります」

「サクラ先生、期待しておりますよ」


 院長に見送られて、私はジンと共に院長室を後にした。

そして、ジンによって病院内を案内してもらう。


「ここが総合受付になります。まずは、ここで受付をすることになります」


 ジンが病院の中を歩きながら説明してくれる。

すごく広い病院だなと思う。


 入院施設も設置されているし、オペもできるようだ。

回復魔法だけではどうにもならないことも、この医療設備があれば救うことができるかもしれない。


「凄いですね……」

「なにせ、王都では1番大きな病院ですから、設備はしっかりしていると思いますよ」


 陛下の紹介だったので、それなりにいい病院を予想していたが、これは予想以上だったと言える。


「ざっとこんな感じですけど、他に何か質問とかはありますか?」

「多分、大丈夫だと思います」

「分かりました。また、わからない事が出てきたりしたら遠慮なく聞いてくださいね」

「助かります」


 やはり、ジンが一緒の病院で働いていているのは頼りになる。

誰も知っている人がいないのと、1人いるのではだいぶ違う。


「では、また明日からよろしくお願いしますね!」

「はい。お願いします!」


 私の今日の仕事はこれで終わりである。

一通り、病院内を見て回った後、私は病院を後にするのであった。

 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る