異変

あれから6年が経った。彼女は、鶴姫と占い師の夢はあまり見ることが無くなっていたが、時々忘れた頃に出てくる。

彼女は18歳になっていた。相変わらずの歴史好きがこうじて大学は史学科に進んだ。古文書の研究などもしてすっかり歴史に取り込まれている。しかし、楽しいはずの毎日が、最近どうもおかしい。なんだか体の調子が良くない。手足が縛れるような変な感覚に襲われる。歴史研究のしすぎで体が疲れているのだろうくらいにしか彼女は思っていなかった。


授業のレポート提出のため、彼女は徹夜している。また、うつらうつらと睡魔がやってくる。



「待っていたよ。やっと戻ってきたね。」と占い師。あの小学生の時に見た水晶玉の占い師だ。

「お久しぶりです」と彼女。

「どのくらい経ったかね。三日くらいかね」

「いえ、6年です。6年経ちました。」

「そんなに経ったのかね」

「はい」どうやらこちらと夢の世界は時間の長さが違うらしい。


占い師は言う。

「あなたに良くないことが起きているようだよ。手足が消え掛かってきているね。痺れているだろう。祠には行ったのかい?」」

「いえ、まだ。行っていないです」

「それはいけないね。あなたにも関わる事だよ。今すぐお行きなさい」夢はここで途切れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る