わたしにアプローチ?

「みきさん、好きなの頼んでね」


「ネギマ2 砂肝1 あと....あっ?!」


しまった....焼き鳥の匂いに釣られて完全に忘れてたわ今の瞬間。ジュンがちょいと.....ビックリしておるではないか!


「どんどん言ってよ みきさん 焼き鳥好きなんだね」


爽やかな笑顔しちゃって。下心出したって無駄だからねーっ。


「ありがとうございます」

「お酒は?」


「生中!」

あぁまたやっちまったー。

「ハハハハハ みきさん 面白い。そのルックスで『生中!』」


「ジュンくん 今日もう一人の美姫は?」

アキ姉さまだ。

「来ないらしいですよ。どっかで油売ってんでしょう」

フン ここで油売ってますよ。


「いるんだよっ。もう一人美姫が。あなたとは全然違うタイプなのよね〜なんていうか、ガサツで、色気なくて、愛嬌だけ。可愛い妹みたいなんだけど。また今度会わせたいな〜かなりの酒豪でさ。面白いよ」


「あ そうなんですねっ。是非会ってみたいです」

はあ、ツッコミたくてもツッコメねーっ。


新入りにあれやこれや聞かないのがここの暗黙のルールだった。

自然と馴染んで自然と関わり合っていく集いの場。



帰りはジュンが送ってくれるらしい。

「駅までで大丈夫です」

「うん 分かりました」




何話す?なんでジュンとの沈黙に困るんだッ


「美姫さんってそんなに面白いんですね。アキさんも美姫さんの話してたし。みなさん仲良しですね。いいなホントの兄弟みたいで。」


「美姫とは同じ施設だったんです。でも、最近彼氏が居るから相手してくれなくなりました」


相手してくれない?まぁ、そりゃあのブス専おっぱい聖人に入れ込んでたからなーっ。

クリスマス、ジュンが毎年恒例の二人で寂しくホールケーキをたいらげる会しようって言ったのに、断ってあのザマだ。


「そうなんですかぁ。また参加させてください。私なんて役に立つか分かりませんけど」


「役に立つかなんて考えないで下さい。人がそこに居てくれるだけ、みきさんが居てくれるだけで嬉しいひとはたくさん居るはずですから。」

なに、ジュン。あんたこんなにいい男だったか?

それともこのセリフあんたのテンプレ落とし文句か?


「はい。ありがとうございます。じゃまた」


「あのー」


「はい」


「個人的に連絡先聞いていいですか?」


わっ!キタキタキタキタ......ジュンッ

知ってるよ、あんただってオスだからな。分かるよ。美女前にしたらそりゃあ連絡先くらいは。


あ゛ 連絡先 美姫じゃんか.....


「今 社用携帯しか持ってなくて、よかったらジュンさんの番号きいていいですか?」

「あっはい。もちろん えっと、070-」

既に連絡先に入ってる番号をわざわざメモった......何やってんだわたしは。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る