-47- 「灰色コート」

 街で、道の真ん中に突っ立っている人がいた。


 ボロボロの灰色のコートを着ていて、灰色の帽子をかぶっていて、顔は良く見えない。


 人通りは多いけど、僕以外は誰もそいつが見えてない。


 そいつが僕の方を見た。


 ヤバいと思い、僕はとっさに逃げ出した。


 振り返らず必死に逃げるけど、そいつが追いかけてきているのは足音でわかった。


 足音がだんだん近づいてきて、もうダメだと思った時、突然足音が聞こえなくなった。


 僕は振り返らず、そのまま家まで逃げた。


 次の日に同じ道を通ると、ボロボロの布切れが落ちていた。


 半分に切られた灰色のコートの様に見える。


 きっと、お侍さんに成敗されたんだろう。










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