-35- 「じゃのめさん」

 雨の日によく会う、着物を着た女の人。


 傘を差していて、僕が雨に濡れていると傘に入れてくれる。


 優しそうな人なんだけど、目が蛇みたいで、怖い。


 だから、僕は「大丈夫です」と頭を下げて断って、いつも独りで濡れて帰ってる。


 すると、じゃのめさんはすごく寂しそうな顔でしょげるから、僕はいつも申し訳ない気持ちになる。









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