-23- 「ようじむし」

 公園で、小さなミミズみたいなイキモノを見つけた。


 ちょっと離れたところで観察していると、そのイキモノは僕の方に寄ってきた。


 そして、蛇が鎌首をもたげるように、僕に向かって目のない頭を持ち上げた。


(あ、何かヤバい)


 僕は直感でそう感じた。


 だけど、まるで蛇に睨まれた蛙の様に、そのイキモノから目が離せなかった。


「あまりそいつをじっと見つめちゃダメよ」


と、突然背後から声がかけられた。


 振り返ると、僕のすぐ後ろにセーラー服を着た髪の長いお姉さんが立っていた。


「そのイキモノはね、人の目玉に入って寄生するの。だから、見つめていると、目玉に飛び込んで来るわよ」


 もう一度そのイキモノに目を向けると、その瞬間そいつはジャンプして僕の顔の方に飛んで来た。


 慌てて手で叩き落とすと、そいつは硬くて、まっすぐで、まるで爪楊枝の様だった。


 でもそれは一瞬のことで、地面に落ちるとすぐにまたミミズの様に柔らかく戻り、草むらの中へ逃げていった。


「ああ言うイキモノは見ていると面白いけれど、中には怖いやつもいるから気をつけなさい」


 そう言って、お姉さんはどこかへ行ってしまった。


 僕以外で、あれだけはっきりとイキモノが見える人に出会ったのは、初めてだ。









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