第14話 女子会(宴会)は続いていた

「あらら。これはイケメン様というよりは、ハンサム様、いえ、超二枚目様ですわ」

「ですわね。背が高くてスマート。そして萌えいずるかのような金色の巻き毛」

「そしてどんな原理なのかしら。この、舞い踊るバラの花びらは。優しい香りがふんわりと漂ってまいります」

「ああ、あの優し気な眼差し。数多くのご婦人方を虜にして来たのでしょうか」

「そうかもしれませんが、私はある種の不穏な波動を感じます」

「不穏な波動? ミサキ様、それは何かしら」

「お気づきになりませんか? 長門さん。あの方、私の、自慢の胸に一瞥もくれませんの。長門さんのスリムな体や脚にも興味がないようですし、ララさんの幼女体形にも全く関心がない。それは、多くの男性を網羅するであろう性癖、つまり、巨乳、貧乳、ふくよか、スレンダー、ロリコン、美脚、などの要素を否定しているのです」

「残るは熟女とデブ専でしょうか?」

「確かにその辺りのラインも該当するかもしれませんが、熟女もデブ専も多くの場合、巨乳とオーバーラップするのです」

「なるほど。熟女とデブ専ならば、ミサキ様のそのロケットおっぱいに少なからず反応するはずだと」

「ええ。でも反応しなかった。それはつまり……」

「つまり??」

「Gではないかと疑っています」

「それは暗闇に出てくると怖い〝G〟とか〝Gフォース〟の〝G〟だとか〝Gファイター〟の〝G〟とかではなくて、LGBTQの〝G〟でしょうか?」

「あら長門さん。LGBTにQをくっつけるとはご丁寧な」

「いえ、私はこれでも戦艦長門のAIですから、情報は正確に表示しませんと」

「そうね、そうよね」

「ところでミサキ様。あの男、外見的には〝G〟の代表格であるグロリア伯爵に似ていますわ」

「それは私も感じました。しかも、この芸がない作者が無い知恵を絞って捻り出したのがコレだと思うと情けない限りなんですけど」

「確かに。しかし、ミサキ様は……その……殿方同士の絡みは……お嫌いなのですか?」

「嫌いではありませんが……その、猛ったアレを男同士で鎮めるなんて、私には到底信じることができません」

「私も……そうかな。殿方同士で無駄に消費するくらいなら、私がお相手した方がよろしいのではと思う位です」

「ですわね。もう、全て私がいただいてしまいたい」

「あら、ミサキ様は独占欲がお強い?」

「そうかもしれません。でも一つはっきりした事がありますわ」

「それは何?」

「私たちは、腐った女子とは縁遠いと、そんな事なのです」

「ですわ。私たちは全然、腐っておりませんわね。ミサキ様」

「その通り」


 ここは戦艦長門の艦橋である。ミサキとイスカンダルの人の姿をした長門が、ワインのグラスを空けながら歓談していた。空になったボトルは既に10本。しかし、ララが指摘した通り、ミサキが酔いつぶれる気配はない。

 ララはと言うと、その有様にため息をつき、首を振っていた。


「ミサキ姉さま。作戦会議を開催したいのですが。現在、オートロック一味が拠点としている異次元空間が、裏宇宙よりの侵略を受けております。一刻の猶予もありません。こいつがガチのGだろうがそうでなかろうが、現状とは全く関係がありません!」


 ものすごい剣幕でミサキに迫るララだった。

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