第8話 見島へ突入せよ!

 腕組みをしているララが長門に指示を出す。


「ハイペリオンをイクラゲ山の山頂に飛ばせ! 自衛隊のレーダー施設は多少破壊しても構わん。島の自然は破壊するな」

『了解しました。ハイペリオンの転送準備に入ります。30秒後に転送開始』


 長門のコアユニットが文章で返事をする。インターフェースが飲んだくれているため、長門は音声での受け答えができない。ララは続いて、正蔵に指示を出す。


「正蔵、準備はいいか」

「OKです。何時でもどうぞ」


 長門の正面モニターに正蔵が映る。今回は正蔵が車長席、椿が砲手席、アンドロイドのソフィアが操縦席に座っている。


「オバケサザエの掃討はお任せください」

「フォトンレーザーで全部つぼ焼きにしてくれる」


 椿とソフィアが答えた。


「黒猫は上空よりハイペリオンの支援だ。フォトンレーザーの出力は絞れ。火事を出すなよ」

「了解」


 朱色のティルトローター機、彩雲改二は、レーダー施設周辺にビーム攻撃を始めた。出力を絞ったフォトンレーザーは、巨大なオバケサザエを的確に撃ち抜いていく。ビームを受けたサザエは瞬間的にその身を貝殻の中へと引っ込めるのだが、その高熱でいい感じに茹で上がってから動かなくなった。


「ハイペリオンを飛ばせ」

『了解』


 戦艦長門がテレポートを使って、全長15mの人型機動兵器、ハイペリオンをイクラゲ山へと飛ばした。ハイペリオンは副砲のビームマシンガンを単発で発射し、オバケサザエを順次屠っていく。


 ララは艦橋から艦首部分の甲板上に移動していた。そして、自身のスマホに話しかけている。


「私はイクラゲ山へ行く。何かあった場合は、10キロ以上距離を取れ。姉さまとインターフェースは酔っぱらっているので無視せよ」

『了解しました』


 スマホの中で返事をしていたのは、長門のコアユニットだった。


「さて行くか。本命が出てきてくれればいいがな」

『肯定。バックアップはお任せください』


 ララはたすき掛けにしている小型のポーチにスマホを仕舞い、前方を見つめる。その時、彼女の体は淡い黄金の光に包まれた。ララは少し助走してから見島へ向けてジャンプした。それは美しい黄金色の残像が、5000メートルの放物線を描いた長大な跳躍だった。



 

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