140字のおやすみ

内山 すみれ

7月まとめ


(0704)

今日は運動して眠いはずなのに眠れない。月曜日が忍び寄っているのに。焦れば焦るほど真綿で首を絞められるように苦しくなってくる。ダメ元でかけた睡眠用の音楽は最早ただのBGMだ。こうしてツイッターを見ている時点で私の敗北は決まっている。ツイッター見ずに寝ろ。 ということで、おやすみなさい。



(0705)

低くて優しい声がいい。絵本でも、子守唄でも、はたまた体験談でも他愛のない話でもいい。私にだけ降り注ぐその声に触れながら、瞼を閉じて微睡に溶けていきたい。

いつか、そんな優しい声に出会えたらいいな。眠れない夜に希望を溶かして、私は今日も願っている。

おやすみなさい。



(0706)

どうしても眠れない時はひつじさんを数えるの。ひつじさんが一匹、ひつじさんが二匹、ひつじさんが三匹、四匹、五匹……。ふわふわもふもふに囲まれて、気持ち良くなって眠れちゃう。気持ちよくなりすぎて寝坊しちゃうから気を付けないとね。ひつじさん、いつもありがとう。おやすみなさい。



(0707)

寝る時にはいつも同じ音楽をかける。いつも同じ、普遍的で変わらないもの。それは私にとって安心をもたらしてくれる。聴き慣れたオルゴールの音色が私の鼓膜を優しく揺らし、眠りへと誘う。私はそのお誘いを受けて、目を閉じた。今日はいい夢が見られるといいな。おやすみなさい。



(0708)

今日も雨だった。じめじめとした空気は私の心も湿らせる。寝る前の、目を瞑って眠りに落ちるまでの時間はなるべく頭を使わないように、無心でいようと思うけれど。ぐるぐると頭を巡らせて嫌な方向へと落ちていく。こんなんじゃいけないね。隣で眠るあなたを見つめてそっと手を繋ぐ。おやすみなさい。



(0710)

今日はとても暑かったから寝ている間除湿を付けることにした。まずは28度。あまり変わらず、27度に下げた。寝るには少し涼しすぎる気がする。0.5度上げたいけれどできない。仕方なく風邪をひかないようにタオルケットをしっかりかけた。なんだか本末転倒のような気もする。それでは、おやすみなさい。



(0711)

もうすぐ月曜日くんがやって来ます。何気ない顔をして優しい日曜日さんを私から取り上げてしまうのです。そんなのは嫌です。もう少し、あと少しだけでいい。日曜日さんを独り占めさせてください。無駄な足掻きだって分かっているけれど、私は日曜日さんの手をしっかり握って眠ります。おやすみなさい。



(0712)

寝ているあなたの跳ねた癖のある髪すらも愛おしくて。起きないように、羽に触れるようにそっと撫でる。さらさらふわふわの髪。ふっくらとした頬。小ぶりな唇。あなたは私の大好きがつまっている。早寝さんのあなたの寝顔を見つめて、今日も元気をもらう。いつもありがとね。おやすみなさい。



(0713)

今日は午前中に一人だけの時間ができました。好きなアイスを食べて好きな音楽を聴いて、パソコンのキーボードをポチポチ打って小説を書く。とても充実した半日でした。一人きりもいいけれど、やっぱり少し寂しくて。あなたに会いたくなってしまう。隣にあなたがいる幸せを噛み締めて。おやすみなさい。



(0714)

ハキハキとものを喋る人に憧れます。私の声はもたもたとして声が通りません。鼓膜を優しくノックするような、そんな声になれたらいいのにな。私はそんなことを思いながらハキハキと話すあの人を心の中で褒め称えます。ハキハキしているで賞の授与式を行います。夢の中でね。それでは、おやすみなさい。



(0715)

今日は久しぶりに電車に乗ってお出かけしました。密、密、密ですが、我慢です。最近のニュースは感染症のことばかりで、今緊急事態宣言が出されているのかいないのか、もう分かりません。宣言するばかりでなく他のことに目を向けて欲しいところです。早く安心して生活できますように。おやすみなさい。



(0716)

外はすっかり夏ですね。最近の私には「抹茶アイス」という強い味方がいます。緑色でスレンダーの、イカしたアイスです。どんなに暑くても食べるだけで涼しくなる、私の強い味方です。明日も私を涼しくしてね、相棒。おやすみなさい。



(0717)

気を使いすぎて自分の中の大切な何かが擦り減っていくような気がする。最近は酷く疲れて無気力になってしまった。でも、でもね私、気付いたの。夢の中なら、なんだってできることに。自由な世界がそこにある。だから私は今日も深く深く眠る。今日は何をしようかな。とても楽しみだ。おやすみなさい。



(0718)

夕食はおひとりさまだったので思い切ってガーリックライスを作りました。溶き卵も加えて、フライパンからとってもいい匂いが鼻腔をくすぐります。誰も見ていないからフライパンのまま、はふはふいただきます。今日は久々にお腹がふくれるくらい食べました。これなら満足して眠れます。おやすみなさい。



(0719)

赤ちゃんって汗っかき。今の季節だと、シャワーにでも浴びたんじゃないかってくらい髪の毛が濡れていて、ちょっと汗臭い。脱水になるんじゃないかって心配になってお茶をこまめに飲ませている。我が子は母の心配など知る由もなくすやすやと夢の中。私ももうすぐそちらに行きます。おやすみなさい。



(0720)

今日はチョコレートタルトを食べました。お腹を気にして糖質控えめのタルトを選びました。口に広がるビターなチョコ。けれど確かにそこに甘さが潜んでいる。大満足だ。罪悪感も抑えられるしこれはリピート確定です。八ピースに切り分けたので明日も食べます。早く明日にならないかな。おやすみなさい。



(0721)

茹だるような暑さに、冬が恋しくなる。けれど冬になったら夏が恋しくなるのだろう。そうやってずっとないものねだりをしていくんだ。そうだ、せめて氷でひんやり冬を感じよう。明日はかき氷デーだ。シロップは何にしようかな。うきうきしながら眠ります。おやすみなさい。



(0722)

「ありがとう」「可愛いね」「愛してるよ」 貴方は躊躇いもなくたくさんの言葉をプレゼントしてくれる。言われて嬉しい言葉は何度言われても嬉しいものだ。だから私もできるだけたくさん言葉をお返しする。笑顔の貴方を見て私もニコリ。いつもありがとね。おやすみなさい。



(0723)

卓球のボールを打つ時の音が好きです。軽くてよく響く音。ラリーが続けば、会話をしているような音に聴こえます。今日は久々に卓球に夢中になりました。心地良い疲労感に包まれながらお布団に横になります。今日はぐっすり、いい夢が見られそう。おやすみなさい。



(0724)

今日は髪を切りに行きました。バッサリ、思い切ってみました。首元がスッキリ。歩く度に風に揺れる短い黒髪。いつもより涼しくなったような気がします。これで地獄のように熱い夏を乗り切りたいと思います。まずは地獄のような夜をクーラーで快適に……。それでは、おやすみなさい。



(0725)

今日はついに連休の最後だ。どうして休みはあっという間に過ぎていってしまうのだろう。ずっと休みのままでいたくていつも夜更かししちゃうけど、寝不足の酷い顔になるのも嫌。だから名残惜しいけれど、いつものように眠ります。明日からまた頑張ろう。おやすみなさい。



(0726)

例えば今見ている光景が脳に与えられた電気信号によって映し出されたものだとしたら。私はただの脳みそで、液体に浸かっているだけだとしたら。なんて怖いことを考えてみた。眠りに落ちるまでの間、空想に想いを馳せる。そんなことはないと言い切れたらいいのにね。おやすみなさい。



(0727)

手紙を書くのは苦手。けれど、誕生日プレゼントに彼は手紙が欲しいと言った。「毎年貰って思い出にしたい」と笑顔で言われたら断れないよ。困ったなあ、何を書こう。最初は誕生日おめでとう、かな。それは無難すぎるか。ぐるぐる考える。彼の誕生日まであと少し。夢の中でも考えよう。おやすみなさい。



(0728)

寝返りもままならなかったあなたがついに一人でつかまり立ちをした。両の足でしっかりと地を踏み立つあなたの姿に涙腺が緩む。これからあなたはゆっくりと歩き出すのだろう。成長とはこんなにも素晴らしいものなのか。疲れて眠るあなたはまた一つ大人へと近付いた。おやすみなさい、いい夢を。



(0729)

ケーキを作るのは物臭な私にはハードルが高い。ああ、ナマケモノだったら絶対にケーキを作ろうなんて思わないだろうなあ。『ナマケモノのケーキ屋さん』、ちょっと見てみたい気はするけれど。そんな空想をするのに寝る前のこの時間は最適だ。でも、そろそろ寝ます。おやすみなさい。



(0730)

金曜日。五日分の疲労がどっと両肩にのしかかるように重い。今日は早めに寝てゆっくり起きるとしよう。一週間頑張ったね私。労ってくれてありがとう私。それでは、おやすみなさい。



(0731)

何もかもが嫌になってしまう時がある。呼吸すらも止めて全てを投げ出してしまいたい。夜はそんな私を包み込んでくれる。決して肯定はしないけれど否定もしない。それが心地よくて私は目を閉じる。明日にはこんな気持ちも和らいでくれるといいのだけれど。それでは、おやすみなさい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る