第24話 コンプレックス

 10月4日 8:40

 4組の生徒が全員グラウンドに集まったのを確認して、エヴァンス先生が口を開いた。「今日は実践訓練を行う。まず、ペアを作れ。」

 俺たち生徒はすぐにペアを組んだ。ちなみに、俺のペアはいつも通りセージだ。

 「誕生日が早い方は校舎側に、向かい合って10m距離を取れ。校舎側にいる人は先に攻撃。俺の指示通りの攻撃をしろ。相手はどうやってもいいから、それを防御する。準備完了だな?では始める。まず、炎。」

 先生の指示を受けて、俺,マックを含めた5人の生徒は全員炎を出す。

 その攻撃に対し、セージ,キャシー,アレクセイを含めた5人の生徒はそれぞれのやり方で防御する。セージは滝を目前に、キャシーは自分を囲むような丸いバリアを、アレクセイは目の前から巨大な波を出した。

 

 そんなことの繰り返し・攻守交代で、約2時間の訓練が終わった。生徒は全員、先生の元へ集まって座った。

 先生はメモを見ながら、「アレクセイ、お前の攻撃・魔力量共にとても良い。防御よりも相手への直接的な攻撃を得意としているようだ。だが、自分よりも魔力量が多い相手への対策として、間接的な防御もしっかり練習しろ。」と生徒への講評を始めた。


 「キャシーは、バリアによる防御がほとんどだった。アレクセイと同じように、自分よりも魔力量の多い相手に攻撃された場合、バリアを壊されてしまう可能性が高い。防御方法のレパートリーを増やしたり、攻撃的な防御もできるようになった方が良い。ただ、何かを作り出すときにその材料を考えるのがとても上手い。そこは誇れ。」


 「マックは、工夫・魔力量ともに一学期から一番成長している。努力を怠らないところが長所だろう。あと、攻撃や相手に合った防御・反撃まで的確に考ることができているのも良いところだ。短所は、加減を考えられないところだ。実際の戦闘ではあれほどの威力で攻撃してもいいが、訓練ではもう少し手加減しろ。いつもパワー全開なのは、ちょっと、な?」


 「レオ。魔力量は最強だが、早さが足りない。せっかく想像できた攻撃の工夫も、それじゃあ活かせないだろ。あと自分の体を拡大させるなら、もっと筋力と体力をつけろ。体力テストは全項目平均値だったろ。セージは、集中力が足りない。以上。」

 セージは不満そうに声をあげようとしたが、先生がそれを遮るようにメモをパタッと閉じた。 

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