第17話 ペリドットの真実Ⅱ

 ベルシギスという名前を付けられたその国で、人々はとても平和に暮らしていた。

 ペリドットの次に生まれた魔法を使える男は、名をゴードンと言った。彼は魔法を学ぶための学校を作った。魔法は生活においてとても大切で不可欠であり、また、魔法を使えるものはとても貴重だと思っていた。だから学校の名前はモノセロスとした。"いっかくじゅう座"という意味だ。いっかくじゅうは伝説の生き物で、魔法が使える人間と同じくらい信じられない。ゴードンは、魔法が使える人間のことをモノセロスと呼ぼうとしていたが、他の人はペリドットと呼んでいたので定着させることができなかった。まあつまりは、貴重だという意味でモノセロスという名前を付けたということだ。

 モノセロス学園の魔法科では、将来生活に魔法を役立たせるためだけではなく、森にいる魔物退治や、極稀に現れる悪の魔法使いとの戦闘など、国の平和を守るための魔法を学ぶことができる。特に魔法使い志望の生徒は、充実したカリキュラムで満足な授業を

受けることができるらしい。


 ペリドットの死後、国民は魔法を使える人間のことを、彼を尊重してペリドットと呼ぶようになった。ペリドットは皆心優しく、魔法が使えない人々のために魔法を使える者が多かった。他国では金や貝などを物と交換する仕組みで経済というものが成り立っているらしいが、この国ではペリドットが何でもやってくれる。森林を伐採する必要もないし、貧富の差が出ることもない。誰でも平和に、楽しく暮らせるようになった。

 極稀に現れる悪の魔法使いは、魔法を悪用すると、平和を乱すと国民がどう思うか、想像できない。12人の中で一番想像力のないやつらだとわたしは思っている。魔物に関しては、昔から悪の魔法使いがいたずら程度に森に撒き散らした悪い魔力を吸い込んでしまった、可哀想な動物たちだ。しかし元に戻ることはないので、殺すしかない。

 

 この先ドラゴンの封印がとかれてしまった時、対抗できるような魔法使いが現れていて欲しいと願っている。全てはこの国の、未来の平和のために。」


 「とりあえず序詞の部分は何とか読み終わった。」

 「ドラゴンの伝説は聞いたことがあったけれど、こんなに詳しく知ったのは初めてだわ。」キャシーが不安そうな顔で言った。

 「作者は分かってるの?」とデイジー。

 「名前は書かれてない。ただ、モノセロス学園の初代副校長だと。…そうだ、父上からの手紙があった。読んでみよう。」

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