僕の愛しき全ての人へ 2

 

 ロボットメイドは繋がりたい! 始動しました❗

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







 ピンポーン

 「おい、幸崎いるか?」

 俺は今、幸崎の家にいる。

 誠四郎が飛び降りてからというもの、家に引きこもっている。当然、誠四郎が死んでいると思っているだろう。

 まぁ、いい様だな。これだけ誠四郎を追い込んだ元凶の一人な訳だし、苦しむだけ苦しめばいいとも思う。でも、この日本はそんな倫理的で平等的でもない。現に、殺人犯が簡単に死刑にならないように、罪をもった人間が、被害者と同じ境遇になるわけでもない。

 故に難しいのだ、罪を償う、償わせるというのは。

 ただ、法で裁けない罪があると言うなら、自らが考える方法で、裁けばいい。

 

 (まず、幸崎を引きずり出さなければならないな。)

 なら、今幸崎の絶望の元を突く。幸崎が抱えているのは、あくまで誠四郎のことだろう。世間体何て考えちゃいない。なら、

 「おい幸崎、お前に誠四郎から手紙が届いてる!渡したいから出てきてくれ!」

 俺は誠四郎の名前を出し、大声で幸崎を呼ぶ。

 呼んでから十数秒後に幸崎は家の中から顔を出した。

 

 「せーちゃんからの手紙って本当?」

 

 出てきた幸崎を見ると、別人のようだった。顔はやつれ、目の下には、寝ていないのか濃いクマが出来ていた。

 人は一日で、ここまで変わるのかとゾッとしたが、本題はそこではない、まずは誠四郎の手紙を渡さなければ。

 

 「あぁ、これ幸崎に渡してくれって俺の手紙に。」

 手紙を手渡した瞬間、幸崎は泣き始めた。

 

 玄関と言うのも何だと思い、俺は幸崎に中で読むことを促した。

 「ここではなんだ、家で読め。」

 と言うとなにも言わす中にいれてくれた。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 私はせーちゃんが飛び降りた昨日から家を出ていない。

 私がせーちゃんを殺したのだと、その事だけしか考えられなくなっていたのだ。何でせーちゃんに相談しなかったのだろうと、後悔してももうせーちゃんはこの世にいない。愚か過ぎる自分を怨み、せーちゃんがいないことに絶望した。私がどんなに悪い状況でも助けてくれたせーちゃん。それを裏切り手放した。私は愛してしかもらってしかいない、常に受け身だった。

 「愛してるよ。」せーちゃんの言葉をもう聞けない。いや、聞くことすら私には権利はない。

 私は食事も睡眠も取らず、ただ、絶望した。

 そして、一日たった頃、せーちゃんの親友である桜井君が家にやってきた。

 最初は気づかなかったが、大声で「せーちゃんからの手紙を持ってきた」と言っていたのを聞いて私はすぐに玄関に向かった。玄関を開けてすぐ

 

 「せーちゃんからの手紙って本当?」 ときいた。

 

 一瞬、私の姿を見て目を見開いていたが、すぐに手紙を渡してきた。  


 「あぁ、これ幸崎に渡してくれって俺の手紙に。」

 

 渡された手紙には、せーちゃんの字で、透華へ

と書かれていた。

 私はせーちゃんを裏切ったのに、せーちゃんは私のことをしっかり考えていたのだ。

 そう思うと、嬉しくて泣き出してしまった。

 桜井君が「ここではなんだ、中で読め。」と言ってくれたので


 私達は家で読むことにした。

  



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 私宛ての手紙には、こう書かれていた。

 

 透華へ

 まず、第一に言うね。僕、本当に透華のことを愛していたよ。花のように笑う透華が、僕に素直に好意を伝えてくる透華が、本当に好きだったよ。だからこそ、透華が斎藤先輩としていたのを見て絶望した。何度も何度も頭の中で繰り返すその光景が辛かった。

 僕さ、他人の幸せが、僕の幸せだと思ってたから、いざ僕自信の気持ちを考えると分らなかった。だから、大変だったんだよ?何日も自分の気持ちと向き合って考えたんだ。そしたらね、やっぱり透華が幸せであることが本当に心から望める答えだった。

 だから透華と別れて、ただのクラスメイトとして接するようになって透華が望んだ幸せを信じた。だけどある時、聞いちゃったんだ、斎藤先輩が透華をどう思ってるか。斎藤先輩、こう言ってたんだ。「幸崎なんてただの玩具だから。」って。これきいた時、僕の自信が、何の抵抗もなく崩れる音があしたんだ。あぁ、僕の選択は間違っていたんだって。僕が幸せにすることが出来たと思っていた人達も、本当は幸せじゃないんじゃないかって。でもね、弟に誓ったんだ。周りの皆を幸せにするって。だからこの手紙で最低限のことはしたいと思う。いい?ちゃんと聞くんだよ?

 まず、斎藤先輩とは別れてほしい。あの人は僕と真反対に位置する人だってあの時分かったから。もし、先輩が脅迫してくるのなら、必ず正人や警察に頼ること。女性は男性より、立場が弱いから、体を求められたって言えば対処してくれると思うし、僕の正人は、友人思いで人気だし、頼れる親友だからちゃんと頼ってね。

 二つ目は、僕と透華の関係は、周りの皆に隠さず、正直に言うこと。その上で、周りから信頼を取り戻すために一生懸命頑張ること。これは簡単な話じゃない。でも、いつまでも偽っていては、今回となにも変わらないからね。

 三つ目、これは、僕からのお願いかな、僕のお母さんを支えてやってほしい。うちの母さん、本当にきついと思う。僕が言うことじゃないんだろうけど、弟も亡くしてるからさ。お願いね。

 僕じゃ力不足だったけど、きっと君なら素敵な人と出会えると思う。心から、透華の幸せを願っています。

                   誠四郎より

 

 誠四郎の優しさが詰まった、一枚の遺書。

 たった一枚にぎっしりと書き綴られ、そのほとんどは私の今後の方針について書かれており誠四郎自身のことはほぼ触れられていない。

 自分より他人、いつ何時どんなことがあっても、他人のため友人のため恋人のために動く。当たり前だからではなく、他人のためになるとうれしいからと、笑ってしまう本当の善人。

 

 

 

 私は本当に最低だ。こんなにも私の幸せを願っている人を裏切ったのだ。私は改めて私自身に失望した。

 「せーちゃん、せーちゃん、せーちゃん、せーちゃん、せーちゃん。」

 同時に、もう穢れてしまったせーちゃんへの愛が止まらなくなった。

     

 「俺はな、正直幸崎への怒りが止められない。こんなにも人を愛することが出来る誠四郎が、傷つかなければならない道理がないからだ。」

 私は泣きながら桜井君の言葉を聞く。

 「俺は誠四郎を苦しめたお前を許さない。苦しめたぶん、お前は苦しまなければならないと、俺はおもう。」

 

 私もそのとうりだと思った。

 

 「誠四郎を愛する権利は、お前に無いと思う。だけど、誠四郎が幸崎、お前の幸せを望んでいることに免じて一つだけ教える。」

 

 「?」


 「誠四郎は生きてる」

 

 「!」

 嘘でしょ?

 

 「ただ、目を覚ますのはいつかわかんねぇ。だから、誠四郎が目を覚ますまで、十二分に苦しめ、俺は手を貸さない。でも、斎藤を相手するなら俺にも話をしてくれ、俺は、あいつが一番許せねぇから。」

 

 「わかっ た。」

 

 こうして、私はせーちゃんに溺れていった。私の原動力は、せーちゃんになった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき

皆さんってどんなジャンルの小説がすきですか?ちなみに私は「陰の実力者になりたくて」が一番押しです。もう今回は疲れたので、このぐらいにしておきます。

 誤字脱字 改善点などあればレビューに書き込んで下さい!

 それではこの作品を読んでくださりありがとうございます!またね!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る