第49話 積み重ねられた雑誌



初めて雑誌に私の事が書かれた時


君はたった数行の記事を

絶大な言葉で褒めてくれたね


ありがとう


でも辛かったんだよ

だって

それ以来は何も仕事も無かったし


それでも君は

数日に一回は褒めてくれたね


実はうんざりしてたんだ

同じ記事を何度でも褒められる事を


今の君は幸せだろうと思えるよ

私と別れられたんだもの


でも可笑しいね

別れを告げたのは私の方なのに


しょうがないよ

君が褒めてくれていた雑誌

山のように高く積み上げられた雑誌に紛れて

埃を被り出したのは

いつからだったんだろうか

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る