第28話 奥深く



一人の農夫が神社の鳥居に寄り掛かり

にこにこと笑顔を湛えている

その横を日本蜜蜂が通り過ぎて行く


養蜂場では無い

山奥にある神社の中で

農夫はその蜜蜂の巣のありかを知っている様だ


西洋蜜蜂では無く日本蜜蜂ともなると

その蜜は高価なものになる筈

それどころか蜜蝋さえいくらになるのか


音の無い世界で

のどかな真昼の時間が過ぎていく


一陣の風と共に

また蜜蜂が農夫の前を通り過ぎて行く


彼の笑顔を尻目に

蜜蜂が通り過ぎて行く

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