第12話 後悔



麓から見る山は少し霧が出ている

ここまで来たのだからと

構わずに山を登り始める

案の定の雨に肩を濡らしてしまう始末だ


時折止む雨に麓を見下ろすと

白い世界に覆われているばかり


天気の日でも涼しい風が吹く山頂で

雨に濡れた身体が震える


家に帰れば暖かい湯に浸かろうか

それとも暖かい飲み物を飲もうか

暖かい部屋で君は待っていてくれるだろうか


あの時

君が出て行ったドアの反対側からは

締め切った窓の向こうから

赤い夕暮れの西陽がさしていた


もしも君が部屋にいたなら

例え忘れ物を取りに帰って来ただけであっても

伝えなければならないことがある


今までの感謝を

例え喧嘩別れであっても

私はあなたに支えられて生きてきたことに

感謝の気持ちを伝えなければならない

もう二度と会えないのだから

私は後悔するに違いない

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