第5話 初恋



いくつかの贈り物をした事がある

今から考えると

ぶっきらぼうに渡したものだ

それにしても

受け取ってくれた少女の顔は美しく微笑んでいた

微かに潤んでいた目を見逃す事ができなかった


ある日

その少女を囲んだ友人達とすれ違う事があった

出しゃばりな少女達が彼女を囃し立てていた

その中央で少女は美しく微笑んでいた

そして その時も目を潤ませていた


少しだけ束ねた薪木に火を入れる

燃え始めた赤い炎に向かって手をかざしながら

遠い昔のことを思い出す


今も彼女のことは忘れてはいない

そして あの頃も忘れてはいない

今も私は彼女を愛している

そして あの頃を愛している

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る