第11話 加賀美エリー

「うゥ……」ボクは小さく呻いてしまった。



「あッああァ……!! 何やってるのよ!!

 マリアァーー……✨😠✨✨」

 加賀美エリーは夏樹マリアがボクの下半身にまたがった格好を見て怒鳴った。



 派手な金髪をなびかせ、ボクらのいるベッドへダイブするように飛び込んできた。



 いつの間にか、鮮やかな金髪に染めたようだ。

 彼女も、あの事故でロリータのように若返っている。



 金髪に染めたので、まるでヤンキー美少女みたいに見えた。大きな瞳が仔猫のようだ。



 ほんの少し前まで加賀美エリーは芸能界のご意見番とも言われ、コメンテーターとしてマスコミを賑わせていた。

 


 しかしデビュー当時は、和製ブ○ジット・バルドーと呼ばれ恋多き女優として世間を賑わせていた。

 『小悪魔』と言う言葉は彼女のために用意されたようなモノだ。



 しかし可愛らしい小悪魔だった加賀美エリーも、すでに七十歳を越えていた。


 どんなにシワ取りのヒ○ルロン酸を注入し若作りをしても、寄る年波には叶わない。



 新型感染症が流行したため、独り暮らしでは危ないと、この高齢者介護施設【ネクスト

ヘブン】へ入居してきたと言われている。




「もォ、マリアッたらァ!! 私のジュンを勝手に独り占めしないでよ!!」

 加賀美エリーは踊るように僕へ抱きついてきた。



「いやいや、私のジュンと言われましても」

 取り敢えず、ボクは誰のモノでもない。








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