第14話



1月中盤。3学期が始まった。始業式では誰も待ち望んでもいないのにお決まりの「ようやく3学期が始まりました。」から始まる長ったらしい校長の話があり、その後は軽く他の教員からの連絡事項があり終わった。今日は始業式のみの予定で夏樹のみ放課後は部活があるため氷緒や柚華や海斗は夏樹の部活が終わるまでは各々自習をして待つことにした。





✳︎✳︎✳︎





「お待たせ!」

時刻は19時過ぎ。待ち合わせ場所である食堂で落ち合った四人は夕食を食べてから帰ることにした。


「夏樹はどれにするの?」

「僕はこの坦々麺にしよっかな。氷緒は?」

「私も夏樹と同じやつにする。」

「あね。はいこれ氷緒の食券。」

「え? ありがとう……」


まさか自分の食券まで買ってくれるとは思っていなかった様子の氷緒は焦りながら財布を取り出すが「350円だし気にしなくていいよ」と止められ渋々受け取ることにした。

それと同時に「こう言うところが大好きなんだなあ」と改めて感じていた。


こうして夕食を食べ終えた四人はようやく駅に向かって歩き始める。この学校は私立で寮もないため多くの生徒が電車通学をしている。

帰り道や電車の中でも夏樹は氷緒の隣を絶対に譲らずキープし続けていたのには海斗と柚華も苦笑していたが何かとお似合いのカップルなのでそっとしておいてあげた。


「ねえ海斗と柚華ちゃん! 今度この四人で遊園地行きたい!」

「お〜いいね! 今週の土曜か日曜空いてる?」

「僕と氷緒は日曜なら。」

「俺も日曜で」

「じゃあ日曜に行こっか!」


そう言うことで軽いノリで日曜日に遊園地に行くことが決定した四人だが夏樹は心の底で不安になっていた。


(僕ジェットコースターも乗れないしお化け屋敷も怖いし何か楽しめるかな……)


どうやら夏樹は高所恐怖症&怖いものが苦手なようだ。そのため不安になるのも仕方ない。


(ん? でももしジェットコースターに僕だけ乗らなかったら氷緒の隣に海斗が来るかもしれないってことか……。それはなんとしても避けないと……!)


少し変な解決の仕方だが本人的には納得のいく解決ができたようだ。こうして四人の予定が決定した。

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