第12話



「ここで夏樹は服をかってるんだね!」

面倒なことがありつつもなんとか夏樹御用達の服屋さんに到着した2人は早速服を見て回ることにした。


「うん! 後ここの香水いい匂いだから好きなんだ! おすすめだよ」

「なるほど〜! 早速服を選ぶよ!」

うきうきした様子の氷緒は「早く早く!」と語るようにまとめたポニーテールがゆらゆらと揺れていた。



そして20分ほど経過してから氷緒は上下3着ほど持ってきた。

そこから着せ替えが始まったのだがお互いに服が好きということで楽しみながら時間を過ごせた。





✳︎✳︎✳︎





ちょうど時間がお昼時だということで2人は夏樹お気に入りのカフェに入ることにした。


「いらっしゃい。あら、久々ね〜なっちゃんじゃない!」

「久しぶりおばさん!」


このカフェのオーナーの奥さんである真由美さんと夏樹の親が友達ということもあって夏樹は幼い頃から通っていたのである。


「ふふふ……そのこは彼女ちゃん? 最近来ないな〜って思ってたら彼女ちゃん作っていたなんてね〜。大きくなったわね〜」

「あははは……。」

「あ、あの……初めまして。夏樹のか、彼女の風沢氷緒ですっ!」

真由美さんからの生暖かい視線に耐えられなくなったのか氷緒は自己紹介を初めてさっさと席に座ってしまった。


氷緒を追いかけて席に向かった夏樹に真由美さんは「初々しいわね〜」とつぶやいていた。



そうして2人はゆったりとした時間を過ごしてから本屋さんに行き、最後に公園に寄って帰ることにした。


「氷緒はどんな本が好きなの?」

本屋についた2人はお互いの好きな小説を紹介し合うことになり、まずは氷緒の小説から紹介することになった。


「私はこういう感じのちょっと切ない恋愛系が好きかな。これなんかは異世界と現実世界が繋がっているっていうファンタジーな部分もあって読みやすかったよ。」


そう言って氷緒が紹介していたのはデビュー作が映画化するなど大人気小説家の作品だった。夏樹もちょうど気になっていたため即購入することにした。


「じゃあ次夏樹は?」

「僕はこの推理小説が好き。映画化もしていたから有名だけどシリーズ全て面白いから読んでみてほしい。」

こちらも大人気の小説で推理小説が好きな人なら1度は目にしたことがあるだろうという有名小説だった。氷緒もこの小説を購入し天気も良かったため2人で近くの公園のベンチに座って本を読むことにした。



1時間ほど経っただろうか。本の世界にすっかり没頭していた2人は時間が経つのを気にせず読み進めていた。だが日も少し傾いてきたということで今日は帰ることにした。


「氷緒今日はありがとう。楽しかったよ!」

「こちらこそありがとう! また行こうね!」


こうして2人の初買い物デートは終了した。

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