第11話

 17時20分。

 日本海を眺めながら札幌自動車道を走り、札幌へ向かう。途中、高速道路出口付近で突如渋滞につかまる。どうやら夕方の混雑時間に入ってしまったらしい。

 京都みたいに、札幌市内の道路は碁盤の目のように東西南北に走っていた。

 道路の場所の標識には、「北4西2」といった具合に書かれている。

 札幌市の場合、東西に走る大通りが南北の境目。

 それより北を北一条、南を南一条としている。

 東西の境目は創成川を境に東を東一丁目、西を西一丁目となっている。

 札幌の道路計画は京都の街を似せて策定されたらしく、丸山から眺める市内の街並みは、京都の嵐山からの眺めに似ているという。


 18時10分。

 今夜の宿泊地、ホテルマイステイズ札幌アスペンに到着。

 JR札幌駅北口より徒歩二分、地下鉄南北線さっぽろ駅より徒歩五分と好立地。札幌市中心を旅行するのなら、いい場所にちがいない。とはいえ明日には飛行機に乗って帰るので、十二分には活用できない。札幌駅直結のJRタワースクエアはすぐ目の前にある。足腰が悪くなければ、いろいろ散策したくなる場所にある。

 

 スタンダードツインルームという部屋。

 広さ: 25平方メートル。

 ベッド幅は110センチ。

 幅110センチ× 長さ195センチ二台。

 一泊するには十分な広さだ。

 兄夫婦から母親あてに、「長い間お疲れさまでした」と書かれたメッセージカードがテーブルに置かれてあった。


 19時。

 JR札幌駅地下街アピアにある「とりの介」にて、晩御飯の焼き鳥を食べる。

 姪は焼き鳥が好きなのだ。

 子供にも、お通し代三九〇円がかかる。わたしだってお酒を注文してないのにお通し代がかかった。居酒屋として営業している店なのか、それとも北海道はそういう仕様なのかしらん。

 つくねはどれも軟骨が入っていて、ジューシーなハンバーグみたいな味だ。

 ただ、焼き鳥を注文したら豚が出てきた。

 北海道では、豚肉の串焼きを「焼き鳥」と呼ぶとは聞いていたが、目の前に現れると一瞬おどろきをかくせない。でも、独特のタレの掛かった焼き鳥はおいしかった。


 北海道の道南エリアでは、一般的に「やきとり」といえば豚肉を指す。なぜなら、道南地区は養豚場も多く、鶏より豚が安価に手に入りやすかったから。

 自然の厳しい北海道の地で働く人たちには、鶏肉よりもビタミンB1が豊富な豚肉がエネルギー源として好まれたのかもしれない。

 鶏の焼き鳥が欲しいときは「やきとり、鶏肉で」と注文すれば問題ない。気になった点は、甘辛いタレというよりは、先に醤油辛さがくるところ。居酒屋をメインにしている店だからなのかもしれない。

  

 20時。

 ホテルに戻ったわたしは、ホテルで洗濯をはじめた。

 新富良野プリンスホテルでも洗濯するつもりだったが、ランドリーの場所がわからなかったことと腰痛からくる疲労のため断念。だが、ここでしておかなければ帰宅後、大量の洗濯に疲れてしまうことが予想された。きっと帰宅したらしたで「疲れて動きたくない」とぼやいているに違いないのだ。

 親の衣類も忘れず運び、五階のランドリールームで洗濯に三十分、乾燥に一時間かかった。

 その間、飲み物を買いにホテル近くのコンビニ、セイコマートに足を運ぶ。さすが全国一位といわれるセイコマートは品数が多い。ファミリマートとかローソンとかいらないから、セイコマートが近所にあればいいのに。

 受付のバイトのお姉さんが美人だった。きっとこの店舗は売上が高いに違いない。近辺の男どもは、このお姉さん目当てに買い物を……なんてことを邪推しながらペットボトルのお茶と飲むヨーグルトを購入し、ホテルへ戻る。

 乾燥を終えた洗濯物を片付け、22時30分にはベッドで横なった。

 疲れを取るにはゆっくり湯船に浸かりたかったが、シャワーですませた。

 一人で宿泊するならお湯を入れて入ったのだが、一刻も早くベッドの上に倒れ込みたかった。


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