590文字 俺の妹がこんなに腐ってるわけがない

 天才外科医の敦弘の元に、交通事故で息絶えた妹の亜美の遺体が運び込まれた。


 亜美の身体は見事なまでにバラバラだった。


 

 ――お兄ちゃん、わたしを復活させて。お兄ちゃんなら出来るでしょ。


 敦弘はそんな声を聴いた気がした。



 うむ、俺なら出来そうな気がするぞ、亜美。


 敦弘は早速、妹、亜美の身体の使えない部分を補うべく、病院の地下の死体安置所に眠る新鮮な死体の物色を開始した。


 腐女子で色気の無かった亜美……。せめて巨乳にしてやろうな。


 17歳の新体操選手だった少女の死体も状態良好だった。

 これは腹筋と下半身全て使わせてもらおう。しかし、胸は大きくはないな。


 更に、他にも良好な状態の死体たちの各種パーツも使ったが、残念ながら、巨乳は見つからなかった。


 まぁ、よかろう。

 以前より幾らか魅力的な身体を持ち、亜美が蘇ってくれるだけでもな。



 かくて、亜美は天才の敦弘の手で奇跡的に蘇った。



 ところがである。

 日が経つにつれ、亜美から異臭が漂い始めた。

 肉体の組織が劣化、腐り始めていたのだった。


 どういうわけだ? 俺の技術には問題はなかった筈だが?


 ――そうか! 亜美は腐女子というやつだったんだ。  

 元々腐っていたのだ。



 腐女子なシュミをやめさせるには? とネットの知恵袋で尋ねた。


 次いで、敦弘はベストアンサーの回答通りのことを行った。


 BL漫画に小説を全て、Kブックスに売り、7540円の儲けになったが、異臭は収まる様子は無かったという。


 

 〈完〉

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