第3話 古代語

 健太は目の前にいる猫と動く人形が敵なのか味方なのか判断出来ない。

 シエルとメルーも、研究している古代の言葉を喋る健太に驚いていた。


「さあて、どうするかのう」


「シエル様?古代の言葉で話しかけてみては?」

2人は互いにうなずき合いシエルは健太に一歩近づく。


『おぬし様、どこからきたのじゃ?』


それを聞いた健太は驚いた。


『猫が喋った?おぬし様?俺の事か?日本語、喋れるんだな?あの、ここは一体何処なんだ?』

健太はシエルの言葉に反応した事に対し、シエルは・・・


「ニャハハ〜イ!メルーよ、古代語じゃ!研究の成果が出たぞい!」

 シエルは喜びを露にした。気分はウキウキで寝転がり、ゴロゴロと転がる。


『な、なあ!猫?日本語喋れるんだろ?ここは何処なんだ?』

 再び健太は質問した。シエルは立ち上がり、健太の質問に答える。


『おぬし様の言う、"にほんご"とやらは、きっと古代語と思う。おぬし様、ピカトーレンの住人ではないのか?』


『ピカトーレン?聞いたことないんだけど・・・』

 この時健太は確信した。猫や人形が喋っている。聞いた事ない街か何かの場所、絶対に異世界に連れられたと確信したのだ。


「メルーよ、この小僧をラマに連れて行く。」

 シエルのこの発言にメルーは驚いた。


「え?冗談でしょシエル様?我がラマ国には猫族とトロル族と私達蒼ピクシーの3種族しかおりません。人間を連れて行くなんて、ラマ王に見つかったら大変です。」


「ん〜、しかしのう、我が研究所にこの小僧がいたら、更に研究がはかどるしのぅ・・・」

 シエルとメルーが何やら話をしているが、健太には全くわかっていない。この地の言葉なのであろう。


『な、なあ、俺ってさ、俺の国に帰る事出来ないのかなぁ?』

 2人が何やら会話をしているが間を挟む様に健太は言った。


『おぬし様は、一体何処の誰なんだろうのう・・・』

 その時であった。何か獣の様な足音が聞こえる。


タタタッタタタッタタタッタタタッ


その音は遠かったが、次第に大きくなっていく。


「シエル様・・・」


「・・・っちぃ、面倒なヤツに見つかったか・・・」

 シエルが言った面倒なヤツ?つまりこの足音を立てている本人が面倒なヤツなのだろうが、その正体は!?


「フッ、やはりシエルのクソジジイだったか!ここはピカトーレンの領地、さっさと立ち去れい!」

 この山菜の地にやって来て直ぐの第一発言がその言葉だったこの生き物は、4つ足で走って来たが、今は2本足で立っている。どこから見てもオオカミの様だが・・・


「フン、おまえこそクソジジイではないか!シュケル!何の様じゃ?」


「怪しい黒い魚を見たから来てみたのだ!まさかお主の仕業ではなかろうな?」

 シュケルと言われるこのオオカミは、シエルに牙を見せて威嚇していたが、健太の存在に気付く。


「む?クソジジイよ、この少年は?どうやら人間の様だが、見かけない顔だ。」


「この少年は闇の幻獣、ダークルカンが連れてきたと思っておる。ワシの予想じゃが・・・おそらく時空を飛んできた人間じゃ!って何がクソジジイじゃ!」

 シエル、シュケル、そしてメルーも健太を見て会話をするが、健太には全くわからない会話である。


『な、なあ、何語なのかわからないんだけどさ、俺って結局帰れないの?』

 健太は日本語で話しかけた。その言葉に反応したのはシエルである。


『小僧様、自分の知っている場所に帰るには再びダークルカンを呼ばねば帰る事は出来んじゃろ。』


『え?あの魚の事?冗談じゃない!俺は帰らないといけねーんだよ、なあ、何とかしてくれよ、なあ、なあ?なあ??』

 少し情緒不安定になってきた健太。まだ12歳の未成年である。不安になってもおかしくはない。

 そこへ更にもう1人、この山菜の地にやってきた。


ドスン!ドスン!ドスン!ドスン!


 大きな足音、その足音の主は徐々に近づく、そして姿を現した。


「シエルさま〜、メル〜?ごはんのじかんだ〜、かえろ〜〜?」


『うわぁぁああああああああ!!』


健太は近づいて来た生き物に対し、驚き気を失ってしまった。


「ちょっ、ちょっとドズラ!あんた何でここにいるのよ!国境で見張ってなさいって言ったでしょ!?それに人間の子供まで驚かせちゃって・・・トロル族は怖い怖い。」


「あっ、あう〜・・・ごめんね〜」


 ドズラと言われるこのトロル族に驚いた健太は、不覚にも驚き気を失ってしまった。果たして健太は今後どうなってしまうのか・・・



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