第7話 ナンパ

 男が女に声をかけるのは大体、その女性の体が目的だと俺個人は思っている。


 夕方。


 一花が一人で帰っていると金髪でタトゥーの入ったちゃらちゃらした男と似たような見た目のチャラい男たちが彼女の前に立ちふさがる。


 彼女は真顔で彼らの顔を見据える。

 

 だが、その心の中では。


 『やだ、この人たち、何?こ……怖い』


 「なぁなぁ、俺達と一緒に遊ばないかぁ?」


 「遠慮します」


 『怖い怖い、誰か助けて!』


 「そういわずにさぁ」


 彼女の肩に男の手が触れる。


 びくっと彼女は驚く。


 俺はなんだか見過ごせなかった。


 第一、女子高生をナンパとか常識的に考えてやばいだろう。


 「おい!」


 「あんだよ、てめぇは」


 「嫌がっているだろう」


 「チッ…………いくぞお前ら」


 そういってチャラい人たちは去っていく。

 

 一花は腰が抜けてその場に座り込む。


 「大丈夫か!?」


 「えぇ、少しふらついただけ」


 凛とした顔で涼しげに流す彼女の心ではホッとする声が聞こえた。


 目元に涙さえ浮かべる彼女に俺は手を差し伸べる。


 彼女は俺の手に自分の手を重ねて立ち上がる。


 「家まで送ってくよ、物騒だし」


 「あ…………あの」


 「ん?」


 「ありがとう」


 そういう彼女は年相応の乙女の魅力を存分に発揮していた。


 

 


 

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