ねこの自己紹介 (ほのぼの)

「はじめまして、こんにちは。僕たちを拾ってくれて、ありがとう! 君みたいなキュートな女の子が僕の飼い主になってくれるなんて、夢みたいだよ! これからよろしくね。とりあえず、自己紹介するね。僕は見てのとおり黒猫。性別は人間でいうところの男で、もうすぐ1歳だよ。もう大人なんだよ。チャームポイントは長い尻尾と金色の目。……ふうん、君の名前、『あかり』っていうんだ。すごくかわいい名前だね。あかりちゃんって呼んでいい? いい? ありがとう! あ、そうだ、僕の名前だけど、僕にはまだ名前がないんだ。あかりちゃんが付けてくれる名前なら、なんでもいいけど、できたらカッコよくて、どこかミステリアスな名前にしてほしいな~。ほら、僕って黒猫だし、神秘的でしょ?」


「俺は白猫。男の1歳だ。となりの黒猫はああ言ってるけど、俺はよろしくなんてしない。勝手にお前が俺たちをお前の家に連れてきたんだからな。居心地が悪くなったらすぐに出て行くからな。チャームポイント? くだらねえ……まあ、あえて言うなら高貴なる宝石のように光る、この青い両目か。ふん。お前の名前は『あかり』か。俺はとなりのやつみたいに『あかりちゃん』なんて呼ばないからな。あかり、と呼ばせてもらうぜ。俺の名前? 俺の名前なんて、なんでもいい。好きなように呼べ。まああえて言うなら『雪之丞ゆきのじょう』『白夜』『スノークリスタル』なんかが俺の希望だ」


「あーもう、さっきから2匹してにゃんにゃんにゃんにゃん、ご飯くれって言うんでしょう? 今あげるからちょっと待ってなさい。その前に、あんたたちの名前決めないとね。んーと……」


 工藤あかりは考えながら、目の前に並ぶ黒猫と白猫を両手でそれぞれ撫でた。仕事の帰り道に、偶然拾った猫2匹。今日から新しい家族だ。


「よし、黒い方が『ココア』、白い方が『マシュマロ』、はい決定! 今日からよろしくね、ココア、マシュマロ」


「にゃん? にゃんにゃんにゃー!(ココア? 全然ミステリアスじゃない!)」


「にゃにゃーん! にゃにゃにゃー? にゃーにゃにゃにゃーんにゃー!(こらあかり!、俺の希望聞いてたか? 雪之丞だって言ってんだろー!)」


「ふふっ。2匹とも喜んじゃって。名前気に入った? じゃあご飯あげるねー」

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