違うよ

 6歳年上の姉が死んだ。

 アルコールの多飲で肝硬変になってもアルコールを飲み続けた姉は、やがて肝臓がんになり、あっけなく骨となってこの家に戻ってきた。

 私もアルコールは飲むけれど、ほどほどにしようと、祭壇上のお骨に手を合わせる。


 姉は缶ビールが好きだったが、私は缶チューハイ派だ。ビールは苦いから飲まない。飲まない缶ビールを祭壇に上げるのももったいなくて、缶チューハイをお骨の横に置いた。姉はアルコールならなんだっていいんだから、構わないだろう。


 ごとん。


 突然、缶チューハイが祭壇から転がり落ちた。触れてもいないのに。

 また、祭壇に置き直す。


 ごとん。


 また落ちた。くそ、なんだよ、これ。


 私は意地でも缶チューハイを祭壇に上げてやろうと躍起になった。しかし、置くたびに缶チューハイは見えない誰かの手で祭壇を転がり落ちた。


 これではない、ということか。姉ちゃんめ。


 私は缶ビールを買いに行くべく、立ち上がった。



 ちなみに49日を迎え、納骨を済ませると、この現象はなくなった。缶チューハイを仏壇に供えても、何も起こらなくなった。

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