違うよ
6歳年上の姉が死んだ。
アルコールの多飲で肝硬変になってもアルコールを飲み続けた姉は、やがて肝臓がんになり、あっけなく骨となってこの家に戻ってきた。
私もアルコールは飲むけれど、ほどほどにしようと、祭壇上のお骨に手を合わせる。
姉は缶ビールが好きだったが、私は缶チューハイ派だ。ビールは苦いから飲まない。飲まない缶ビールを祭壇に上げるのももったいなくて、缶チューハイをお骨の横に置いた。姉はアルコールならなんだっていいんだから、構わないだろう。
ごとん。
突然、缶チューハイが祭壇から転がり落ちた。触れてもいないのに。
また、祭壇に置き直す。
ごとん。
また落ちた。くそ、なんだよ、これ。
私は意地でも缶チューハイを祭壇に上げてやろうと躍起になった。しかし、置くたびに缶チューハイは見えない誰かの手で祭壇を転がり落ちた。
これではない、ということか。姉ちゃんめ。
私は缶ビールを買いに行くべく、立ち上がった。
ちなみに49日を迎え、納骨を済ませると、この現象はなくなった。缶チューハイを仏壇に供えても、何も起こらなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます