第30話 響の看病part2

 ふーふして食べさせる


☆☆☆


 おかゆを作り、響の部屋に戻ると響は瞼を閉じて眠っていた。

 俺はおかゆを床に置いてベッドのそばに座った。

 

「無理して起きてくれてたんだな」


 そう分かるほど、響の寝顔は苦しそうだった。

 俺は響のおでこに手をあてた。暑いくらいの体温が俺の手に伝わってくる。

 

「てか、なんんで何も冷やすもの乗っけてないんだよ」


 俺はキッチンから氷水を持ってきて、ハンカチを濡らし響のおでこに乗せた。

 それが気持ちよかったのか、響の顔に少しだけ安らぎが戻ったように見えた。


「まったく、心配かけんなよな」


 いつも元気な彼女がこうも弱っていると心配になる。

 それにしても・・・・・・。

(美人だよな・・・・・・)

 病状で倒れている人見て言う感想ではないが、響は寝顔も美しかった。


「目が覚めるまでそばにいてやるから、ゆっくりおやすみ」


 おかゆができたら起こすとは言ったものの、せっかく眠っているのを邪魔するわけにもいかず、俺は響が自然と目を覚ますまで待つことにした。



 それから数時間が経過して・・・・・・

 俺はベッドに頭を乗せて眠ってしまっていた。


☆☆☆


(響視点)


 目を覚ますと真横に宗一君の顔があった。

 これは夢だろうか、と一瞬思ったが、宗一君がお見舞いにきてくれたことを思い出して、すぐに夢ではないことに気がついた。

 

「あぁ、あぁ・・・・・・」


 私は何時間寝ていたのだろうか。

 宗一君がおかゆを作ってくれると、部屋を出てすぐに私は眠りについた。


(起きていようって思ってたのにな・・・・・・)


 やはり病気には勝てないらしい。

 まだ少し喉が痛い。

 声も掠れてる。

 朝よりは良くなったような気もするけど、まだまだ本調子ではなかった。

 自分のおでこに手をあてた。

 

(これって・・・・・・)

 

 おでこに乗っていたものを手に取って見た。

 見慣れないハンカチだった。

 

(そっか・・・・・・宗一君が置いてくれてのか・・・・・・)


 朝から、寝たっきりで冷えたタオルを用意することなんてできなかったし、そんな気力もなかった。

 

(こういう気の利くところも好きなんだよね)


 私は改めて宗一君のことを好きだなとしみじみ感じた。

 あの時からだ。

 私が宗一君のことを好きになったのは・・・・・・。

 

 あれは私が中学二年の時だった。


☆☆☆

 

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