流山殺人事件

鷹山トシキ

第1話

 俺は千葉県警捜査一課に栄転となった。相棒だった鈴江は神崎署から流山署に異動となった。

 流山は江戸川や利根運河を利用した水運で栄えた白みりんの産地として知られ、明治期には葛飾県庁が置かれていた。


 1950年代以降、江戸川台や松ケ丘を皮切りに住宅開発が行われ始め、現在に至るまで住宅地として開発が進む。1970年代までに流鉄流山線、東武野田線(東武アーバンパークライン)、JR武蔵野線が市内に通るものの、それぞれが市内で接続せず、地域ごとの繋がりが薄い市となっていたが、2005年(平成17年)のつくばエクスプレス(TX)開通により、それらの地域が結ばれるとともに東京都心へのアクセスが向上した。

 千葉県の北西部に位置し、県庁所在地である千葉市から約30キロメートルの距離である。東京都の都心から20 - 30キロメートル圏内である。東葛飾地域に属し、旧東葛飾郡の中部に当たる。都市雇用圏における東京都市圏(東京都区部)のベッドタウンとしての性質が強く、マンションや住宅街が林立している。通勤率は、東京都区部へ33.5%である。東京との結びつきが強く、いわゆる「千葉都民」が多い。同じ東葛地域の柏市への通勤率は12.5%。


 市の面積は35.32平方キロメートルで、千葉県内では5番目に面積の小さい市である。


 市域は南北に長く、市の中部や北部は下総台地の一部を構成して緩やかな高低差の台地となっており、ほぼ全域が住宅街や農地などになっている。市の西境を江戸川が南北に流れ、江戸川沿い及び市の南部は平坦な低地、江戸川の対岸は埼玉県である。また、市の北部には利根運河が流れる。利根運河の開削に貢献したローウェンホルスト・ムルデルは、流山市在住の郷土史研究者らを中心に再評価が行われており、市内の利根運河水辺公園にはムルデルの顕彰碑やムルデル記念通りが整備されている。


 下総国に属する。江戸時代は、軍馬を養う小金牧の一部として大半が天領とされたほか、駿河国田中藩の飛地もあった。18世紀頃から江戸川の河川舟運のための河岸ができ、みりんの製造で栄えた。幕末期には新選組が本陣を置いたが、新政府軍に包囲されたため隊長の近藤勇が出頭し、盟友土方歳三との離別の地となった。


「織江ちゃんとはよろしくやってるのか?」

 流山署の会議室で鈴江が言った。

「まぁな」

 榎本織江は俺の後輩刑事で、恋人だ。

「ところで遺体の身元は分かったのか?」

 マルボウの長崎が言った。

 遺体は昨夜、茂侶神社ってところで見つかった。

『延喜式神名帳』には小社として「下総国葛飾郡 茂呂神社」と記載されており、その論社にあたる。論社には他に2社(松戸市と船橋市)がある(「茂侶神社」参照)。茂呂神社自体の国史での初見は、『日本三代実録』貞観13年(817年)11月12日条「茂呂神に従五位上の神階を授ける」という記述である。その後、元慶3年(879年)9月25日に正五位上を授けられた。


 当社の創建は不詳。祭神の大物主命は、奈良県の三輪山にある大神神社の分霊とされており、社名の「茂呂(茂侶)」は、三輪山の旧名「御諸山(みもろやま)」の「モロ」のことであると見られている。そのため、当社の鎮座する台地もまた「三輪山(三輪野山)」と呼ばれている。神宮寺跡・旧参道西平井の鳥居跡・八木郷の地名由来などから、当社は広大な神域を有していたと推測されている。


 慶長3年(1598年)、江戸川が掘られたことにより神域が分断された。当神社はその東岸にあたる。そのため、元和年間に江戸川西岸に分社し、三輪神社が創建された。また、当社には江戸幕府から毎年25石の祭祀料が捧げられていた。


正木美奈子まさきみなこ、銀行員」と、鈴江。

「正木は背中を刺されていたんだよな?」と、俺。

 正木は背後から襲われた。犯人の顔は見ていなかったのかな?

「あの神社はヂンガラ餅ってのが有名だ」と、鈴江。

 1月8日のオビシャ(新年祭)において、鏡餅を神前に供えたのち氏子が引きちぎりあう。餅の割れ方によりその年の作柄を占っていた。流山市により無形民俗文化財に指定されている。


 俺は沼津と流山駅にやって来た。沼津は以前は香取署にいたが県警に栄転になった。

 現場からは歩いて25分だ。

 流山駅は、千葉県流山市流山一丁目にある、流鉄流山線の駅で、同線の終着駅である。駅番号はRN6。関東の駅百選に選定されている。

 駅舎は旧来の流山市街地に面しており、住宅が多く、近隣を千葉県道5号松戸野田線(流山街道)、千葉県道278号柏流山線が走る。市街地には、国の登録有形文化財に登録されている呉服新川屋店舗、寺田園旧店舗など歴史的町並みが残り、行灯が燈る流山本町の町並みは「行灯回廊」や「江戸回廊」とも呼ばれ観光活用している。古民家が多く、これらを活用したカフェや交流スペース、宿泊施設への活用が取り組まれている。

「犯人はどこに逃げたんだろうな?」と、沼津。

「それがわかれば苦労はしない」

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