しあわせの三毛ねこ

月ノ瀬 静流

しあわせの三毛ねこ

 あるところに一匹の三毛ねこの男の子がいました。

 名前をみけといいました。

 みけは、三毛模様のとても美しい三毛ねこでした。


 大空を流れる雲のような真っ白な毛。

 世界を優しく包み込む夜の闇ような真っ黒な毛。

 大地を見守る巨木の幹のような茶色の毛。


 男の子の三毛ねこは、とても珍しかったので、みけはみんなから、幸運を招く〈しあわせの三毛ねこ〉と呼ばれていました。


 みけが、漁師のおじさんの釣竿をぺろりと舐めると、その日はいつもより大きな魚がたくさん釣れました。

 みけが、お母さんねこの大きなおなかをぽんぽんっと撫でると、可愛い子ねこがにゃあにゃあと元気に生まれてきました。

 みけが、落し物をしてぽろぽろ泣いていた子に協力して一緒に探してあげると、なくしたものはひょっこりと出てきました。

 みけが幸運を招くと、みんなが「ありがとう」と言ってくれました。

 そんなとき、みけは、くすぐったいような嬉しい気持ちになるのでした。


 みけは自分の三毛模様が大好きでした。

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