本物の彼女

（二）-15

　そう思い至り、彼女を探すことにした。

　もちろん、彼女は現実世界には存在しない。だから似た人を探してみた。

　マッチングアプリを使うことにした。登録して、条件に合う人を探してみた。

　美浜みどりに似た女性はそれなりにいた。その片っ端からアプローチしていった。しかし返事は全くなかった。

　一〇〇人以上にアプローチしたけどまったく返事もなにももらえなかった。代わりにウソを書くことにした。

　その理由は、女性のプロフィール欄にある、あることに気づいたからだ。「一流企業、年収八〇〇万以上希望」などと書いている人が多いのだ。そんな女が引きこもりで無職の人間を相手にするわけがない。だから今まで自分のプロフィール欄に書いていた「中学の頃からの引きこもり」というフレーズは、抹消した。

（続く）