第25話 今後の為に

 あれから数日後。

「し、失礼します・・・」

「今、飲み物とお菓子持ってくるから待ってて」

 今、みずきさんの家に、部屋にいる。

 女の子の家は、部屋は、初めて。

 落ち着かない。

 学習机はきちんと整理されていて、カーテンは白。

 ベッドには枕の隣に、可愛らしいクマのぬいぐるみが1つ。

 本棚は少女漫画や文庫本が中心で、その他辞書や参考書など難しい本もあった。

 小さなテーブルが真ん中にあって、僕はどこに座れば正解なのか分からず、突っ立っていた。

 ガチャッとドアが開いた。

「あれ?座って良かったのに」

「いや、その・・・」

「変なの」

 クスクス笑うみずきさん。

「じゃあ、ここに座って」

「はい」

 テーブルを挟んで向かい合うように座った。

 ふぅ・・・座ったら少し落ち着いた。

「はい、オレンジジュース」

「ありがとう」

 僕は出されたオレンジジュースを半分まで一気に飲んだ。

「ふぅ・・・」

「喉渇いてた?」

「えーっと」

「緊張?」

「うーん」

「なるほどねー」

 えっ?えっ?

弦大げんた君には早かったかー。初めてなんでしょ?女の子の家」

 うっ・・・。痛い・・・。

「大丈夫、落ち着いて」

 すみません、こんな僕で。

「私も弦大君の家に行った時、緊張したし」

「そんなそぶり全く」

「気付かれないように我慢したの」

「なるほど」

 やっぱり、緊張するよね。

「はい、どうぞ」

「おぉ・・・」

 目の前にケーキが。

「お菓子探してもなかったから、ケーキ良いよってお母さんが」

「すみません」

「大丈夫だからね」

 なんだか、みずきさんの母親に気を遣われた気がした。

「とりあえず、ゆっくりしよう」

 少し談笑する事になりました。



 談笑して1時間は経過していた。

「さて、と!」

 パチン!と手を叩いたみずきさん。

 何かの合図のように。

「うん、話す気になった」

「なるほど」

 少し緊張してきた。

「私が何で教室にというか、大勢の人がいる場所に居られないのか」

 僕はこれから彼女が話す彼女の生い立ちに、緊張と怖さと悲しさとがごちゃごちゃした心で、少し落ち着かないけど、落ち着かせて聞く。

 受け止める準備は出来ているから。


「私が小学生の時まで遡るんだけどね・・・」

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