第4話 嘘ついたっていいじゃない

 死んだ俺は,また次の世界に転生した.

 その世界では,角を曲がったかどで死刑が宣告された.ここはだじゃれのくに.


* お前の死刑は,今週の一曜か二曜のいずれかの日の正午に必ず執行される

* お前が,死刑の日がどちらの曜日になるかは,その日の正午に告げられるまで決して知ることはない


 はい,条件は同じ.前世では一曜の朝に余計なことを言った気がするので,だんまりを決め込むことにした.


 一曜の昼

 ……誰も来ない.


 よし.


 二曜日の昼.

「お前は,今日死刑だ」

「おいおい,このことって,昨日の昼にわかってましたよね.だって昨日死刑じゃなかったら今日に決まってますよ.『死刑の日がどちらの曜日になるかは,その日の正午に告げられるまで決して知ることはない』に反しますよ」

「反しているから,どうなんだ?」

「私を死刑にはできません」

「なぜだ?」

「嘘ついたじゃないですか」

「それが,どうだって言うんだ.私の言った『死刑の日がどちらの曜日になるかは,その日の正午に告げられるまで決して知ることはない』が嘘であったとして,お前が死刑にならないことに,何の関連性がある」

「あんた,嘘ついといて,よくそんなこと言えますね.あんたのほうが死刑になるべきではないですか?」

「嘘つきが死刑になるなんて決まりはない.角を曲がったことのほうがよっぽど重罪だ」


 とんでもない理由で俺死刑になった.


 あ,ちなみに,一曜日が死刑日だった世界線も貼っておく.


 一曜日の昼.

「お前は,今日死刑だ」

「いやいや,私が今日死刑になることは,証明できるんですよ.なぜなら,今日死刑じゃなかったら,明日ってわかっちゃうじゃないですか.『死刑の日がどちらの曜日になるかは,その日の正午に告げられるまで決して知ることはない』に反しますよ」

「反しているから,どうなんだ?」

「私を死刑にはできません」

「なぜだ?」

「嘘ついたじゃないですか」(以下略


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