第13話 分解するだけの簡単なお仕事(自力)

久しぶりに魔導器の分解をしにメディク兄さんのところに訪れた。


「兄さーん!久しぶりに分解しに来たんだけど良いかなー!」


するとガタガタガタ!!という音がして、


「おぉ、よく来たね〜。久しぶりにやっていくんだね。」


「うん!なんか無いかな。」


「それなら丁度皇帝陛下から直々に依頼が来ててね。どうする?やってみたい?」


「えっ⁉︎良いの⁉︎そんな大事な物…。」


「それが他国の物っぽいんだけどどこの国の物かわからなくて…。それで分解すればどこの国の作り方かわかるかもしれないからって。」


「へぇ〜。じゃ早速やってみようかな〜。」


早速分解に取り掛かった。


「まずはこのパーツを取り外さなきゃ。だから……ここかな?よし、あってた。次はこの部品を取り外してからまた中身を見やすくして〜…………。」


「おぉぉ。やっぱりさすがだね。やっぱりこんな若手でここまでの人材がいたら他の国もびっくりするわけだ。敵に自国の武器とか渡ったらすぐに複製ができてしまうから。」


「え?」


「なんでもないよ。そっちに集中しておきな、今良いとこなんだろ?」


「うん!ありがとう、兄さん。」


「まぁ、次からはちゃんと君個人に依頼するから。お金も入ってくるよ。これで十二分に稼げるんだけど…。まぁデコルが個人的にやりたいことをさせてあげたいし、専念してやらなくても良いけどね。」


「……………。出来た!」


「はやっ。何か腕を上げてないか?分解の称号の能力は使って無いんだろう?なんでそんな早く終わったんだい?」


「だいぶ今回のは簡単だったよ?」


「え?いや、かなり難しい物だったぞ⁉︎何でだろう…。やっぱり分解の称号が何か関係してるのかな…?そんな感じはするかい?」


「ううん、いや、ただ前に似たような物分解した事があって…。」


「似たような物、それはどこで?」


「ここで。」


「ん?じゃあ僕が作った物の中に似たような物があったって事?」


「うん。もしかしたらバレタのかも…。」


僕はその可能性が高いと思っている。分解した時にわかったけど、何でか既視感があったんだ。


「………。だとすれば不味い事になったな…。これは皇帝陛下から隣国の物と言われて渡された物だから…恐らくはこの前戦争があったリュート王国で作られた物の可能性が高い。デコル、分解した時にラベルはあった?」


ラベルとはその国で作られたと書いてある魔導器には絶対にないといけない物だ。だが、国家機密となると話は変わる。大抵は書いてない事が多い。


しかし、


「兄さん、それが……ラベルが貼ってあったんだ。」


「何⁉︎それはどこの国の物だった⁉︎」


「ラベルは国の物じゃなかったんだ。最近何か賊徒の動きが目立つって聞いた?」


「あぁ、あの『リジェインス』だったっけ。目的は確か……。」


「それはね、【腐った世界からの解放】を目的とした集団だよ。」


「「シリス兄さん!」」


一体いつから居たんだろう。全く気配がなかった。


「皇帝陛下からも気をつけろ、と言われていたからね…。警戒していたんだけどまさかここで出てくるとは思わなかった…。」


「この魔導器って…いや、コレってもともとドコの部品だったの?」


「えっと……砲台の…何だっけ?一部だったような気がする…。」


「これは恐らく砲弾を加速させる物だね。魔力回路を見ればそういう作りになってる。」


さすがシリル兄さん。魔術や魔法の申し子だからなぁ。確か魔法学園と魔術学院の両方からお墨付きを貰っている。


「じゃあこれがあるって事は……。」


「通常の物よりも威力が上がってるって事。これは不味いね…。」


「ねぇ!これが出てきたのってどこかな!」


「確か……エルゼ領…だったような気がする…。」


「エルゼ領…。わかった!ベイルさんにも手伝ってもらえれば嬉しいな…。」


「何をする気だい?デコル。」


「ちょっと、なんか妙に引っかかる事がありまして…。」



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「頭ァ!」


「どうした!」


「砲台の加速器が一つ見当たらなくて!探してもなかったんで数え間違いかと思ったんですが、あの中身が分解されバレてしまったようです!」


「何⁉︎あの板のような物を分解できる輩がいるのか⁉︎誰だ!そいつは!」


「それが……コンポース家の誰かのようなんです!」


「コンポース家……。ほう、奴の実家か…。この右目の仮も込めて、次にあった時に決着をつけてやるぜ!とくと味わせてやるぜ。強くなった俺の力をなぁ!待ってろよ…サルファ・コンポースゥゥ‼︎」


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「クシュン!ん?誰かが噂でもしているのか…?」

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