SF的設定に支えられた、必然のうんこ展開

 並行世界への転移実験に成功した男性が、ふとしたことから公衆の面前での脱糞の危機に陥る、迫真のタイムサスペンスSFアクション。

 スピード感のあるコメディ作品です。
 外出中に突然お腹を下したときの恐怖をコミカルに描いたお話。とどのつまりはうんこネタ、というのはその通りなのですけれど、ただ汚いばかりでないところが最高でした。

 うんこというものはそれだけでインパクトがあるものですけれど、でもそのパワーで押し切る笑いではないところが本当に好き。
 読み手が先の展開や独白の意図を〝察する〟タイミングで来る、構造や展開の持つおかしさや面白み。なんなら「うんこネタなのに上品」と、そんな感想すら抱いたほどです。なにこれすごい……。

 SF的設定にも説得力が、というか、このSFとしての雰囲気そのものが結構好きだったりして、そういう物語としての屋台骨がしっかりしているからこその魅力を感じる作品でした。
 なんだか気取ったような感想になっちゃいましたけど、気軽に読める楽しいコメディですよ!