第14話 『追いかけてきたんじゃァァァァ!!』




 小学生を追いかけ、ヤクザ達は小さな公園へと辿り着く。




 そこは古びた公園。何もない広場と錆びれた遊具が並んでいる。




「……」



 小学生はブランコに座り、ゆっくりと揺れている。その小学生の顔はどこか寂しそうな表情をしている。




「どうしたんだ? あのガキ?」




 男達は見つからないように芝生に隠れて見守る。

 側から見たら誘拐でもしそうな勢いだ。





 そんなところに、一人の婆さんが猛ダッシュで走ってきた。




「バババババ!!」




「とも子さん?」




 背筋を伸ばし、足を腰まで上げて、まるでリレーの選手のような綺麗な姿勢で走るとも子のスピードは車よりも速い。

 そしてその表情はめっちゃ怒っていた。




「ギイャイャァァァァ!!」




 鬼の形相で走るとも子にヤクザ達は動揺し逃げ惑う。

 勝手に店を抜け出してきたことを怒られるのだろうか。そう思い、ビビった男達は散り散りになって逃げる。




 しかし、子供の頃から運動能力が低く、50メートル走では10秒が当たり前、ドッチボールをやると最後まで狙われない。

 そんな調子であったアキラは逃げるのに出遅れてしまった。




「え、ちょ、みんな早い!!」




 アキラは急いで逃げようと、走り出したとき。一歩目から段差に躓いて転んだ。




 スキンヘッドの男はアキラを見て、




「こんなどうしようもない俺を拾ってくれて、ありがとう! そして──さようなら!!」




 と心の中で叫びながら、走っていった。




 アキラの目を前にとも子が現れる。アキラは涙目で謝るが、ババアはアキラを無視して公園にいる小学生の元へと向かった。





「金払うんじゃァァァァ!!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る