第8話 『品揃えじゃァァァ』



 今日は朝からとも子は男どもを集め、作戦会議をしていた。




「これから万引き犯を見つけ出す。協力するんじゃ」




 ババアの言葉に集められた男が戸惑う。




「か、かしら? どういうことですか、これは?」




 男の隣で行儀正く、とも子の作戦会議に参加するアキラにスキンヘッドの男が、耳元で小さく呟く。

 それを聞いたアキラはお婆さんにバレないように、小さな声でこっそりと答えた。




「ん、万引き犯を捕まえるんだよ。田中」




「山田です。なんでこんな婆さんの言うこと聞いてるんですか」




 スキンヘッドの男の言葉を聞き、アキラは絶望の表情で答える。




「分からねぇ。だが、この婆さんに逆らえないんだ」




 そんなことをこそこそ話していると、とも子が怒り出す。




「コラ! しっかり話を聞かんかい!! 島根!」




「山田です!!」




 しかし、怒った婆さんの姿を見て、スキンヘッドも逆らう気が無くなったようだ。

 大人しくなった二人に、とも子は説明を始める。




「良いかい。今日二人に来てもらったのは、万引き犯を捕まえてもらうためじゃ。最近うちの店で万引きが起きておる。その犯人を見つけて欲しいのじゃ!!」




 そう、最近とも子の店では万引きが起きておる。それをヤクザの2人に捕まえてもらおうということだ。

 説明を終えたBBAは店の奥へ、二人は店内を適当に見張ることにした。




 店を見張っていたスキンヘッドの男は商品を見て呟く。





「なぁ、かしら、ここって駄菓子屋だよな?」




「ん、ああ、確かそう言ってたな……」




 スキンヘッドの男は店に並べられた商品を手に取る。それはどっしりと重くそして硬い。




「なぁ、なんで手榴弾が売られてるんだ? なんで弾薬が飾られてんだ?」




 スキンヘッドの男は並べられた商品の異常さに驚く。しかし、それを聞いたアキラは笑って応える。




「オモチャだろ。最近の子供はリアルなやつが好きだからな〜」




 そう言って一つの手榴弾を手に取ろうとする。しかし、アキラは手を滑らせて、足元に手榴弾を落としてしまう。




「あ…………」




 店内に爆発音が響き渡る。




「かしら!!」




 爆発に巻き込まれたアキラは黒焦げになっているが、生きてはいるようだ。

 スキンヘッドの男は驚き、急いで婆さんの元へと行く。婆さんがいるのは店の奥の戸の先にある奥の休憩の間。お婆さんの自宅でもある。

 スキンヘッドの男は戸を叩いてお婆さんを呼び出そうとするが、戸を手で触れた瞬間気付く。




「か、硬い。鋼鉄か……」




 スキンヘッドはどうにかこうにか戸を開こうとするが、硬くて開かない。




「どうなってんだ! 婆さんは余裕で開けてたのに!!」




 焦るスキンヘッドを見て、アキラは立ち上がる。




「大丈夫だ。ハマジ」




「山田です!! 大丈夫じゃ無いですよ。フラフラじゃないですか!」




 スキンヘッドの言葉にアキラは返す。




「大丈夫だ。逆に考えろ。俺は今この店の商品を一つ無駄にしたんだ。今婆さんを呼べばどうなるか……」




 それを聞いたスキンヘッドの顔は青ざめる。




 あのお婆さんのあったのは数分前だというのに、あのお婆さんの怖さがすでに理解できた。

 取り扱う商品の数々。鋼鉄で出来た戸。そしてそれを開ける婆さん。




「これは無かったことにしましょう」




「ああ、そうするのが一番だ。杉田」




「山田です!!」




【後書き】



 アキラはツッコミキャラなのか、ボケなのか? いや、ツッコミだな。

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