家猫になったシロ太3 家猫の切符

家猫になったシロ太君、また脱走して戻ってきたそうで、

「自分の家」の認識はあるっぽい。

「シロ太君、どうして又脱走したの?」


<お父さんを噛んだら叱られたので(当たり前です!)

 俺は嫌われたと思って、家を出た。>


そんな事では嫌わないけど、噛んだらダメと言おうとしたら、

シロ太君が語りだした。


<最初に迷子になった時、サバトラ兄さんと白黒ブチ兄さんが、

「ちゅーるの匂いのする家はあっちだ。

 お前はあっちの方へ行け。家へ帰れ。」て、教えてくれたんだ。

 こっちの猫コミュニティは優しいな。

 前の場所のコミュニティは、殺伐としてたんだ。

 で、2度目の家出の時に、前回のお礼を兼ねて会いに行ったんだ。

 そしたら、サバトラ兄さんとブチ兄さんが言うんだ。

「お前は家猫になったんだろう?家に帰れ。

 お前が帰らなければ、代わりに俺たちが家に入るぞ?

 俺たちは置き餌はあるが、半ノラだ。厳しさは知ってるだろう。

 お前はせっかく『家猫の切符』を手に入れたんだ。

 『家猫の切符』を離すな。家に帰れ」って。


 俺は『家猫』だから、帰ってきた。

 オレ『家猫』だもんな。


 あの・・さ・・・お願いがあるんだ。

 こっちの猫コミュニティに入りたいんだ。

 夜は必ず家に戻るから。必ず家に帰ってくるから。

 時々、外に出かけてもいいかな?>


必ず帰るというシロ太君の言葉を信じて、

外出に同意する飼い主さん、お優しい。


で、その優しさが災いしてか・・・

まだ、飼い主さんにシャーシャー言ってるシロ太君。

ご飯の時、嬉しくてミャーミャーは判るが、間にシャーが入る。


「みゃあ♪シャー!みゃあ♪シャー!」言ってるのは、なぜ?


<え?ノラは食べる時は、シャーシャー威嚇しとかないと、

 横取りされるじゃん?

 ご飯が嬉しいのみゃあで、威嚇のシャー。

 ん???

 シャーシャー言ったら、ダメなのか?>


「家猫は、飼い主さんにシャーシャー言いませんよ。

 誰もシロ太君のご飯は取りません。

 シャーシャー言ってはダメです。噛んでもダメです。

 家猫は、飼い主さんに撫でられて、ゴロゴロ言って下さい。」


<・・・・

 そっか・・・

 家猫は、シャーシャー言ったらダメなのか・・・・

 わかった。努力する。>

 (衝撃を受けてるシロ太君)


まだまだ、普通の家猫からは程遠いけれど、

『自分はこの家の猫』だと決意したシロ太君は、

家猫修行を頑張ってます。


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