家出中の兄貴猫 探さないでくれ

半年以上前から貼ってあった「猫探してます!」のポスターをじっと見る。

「猫君、生きてる?」

<生きてるよ。オレは帰らない。諦めてくれ。>

決意、固いなー。

取り合えず、生きてる事、戻る気は無さそうだという事だけを伝えておく。


後日、飼い主さんから詳しい事情を聴いて、再度帰宅を呼び掛けてみる。

しかし、固く帰宅を拒否。(猫に所在地名を聞き出す事は無理)


<俺は、独り立ちがしたかったんだ。

 そこでは姉さん猫の支配下から逃げられない。

 俺はトップに立ちたかった。でも、姉猫に負けるんだ。

 一度外に出てみて、行先が見つからなかったら戻ろうと思ってたんだけど、

 運よくご飯と寝床が見つかったから、気ままに暮らしてる。

 見つけるのは、難しいと思うよ。>


猫君がいなくなった後に、保護猫君が家に迎えられています。

その事も、猫君は知っていました。


<弟猫が来るのは、俺は判ってた。猫界通信だと思ってくれ。

 っつーか、俺がいたなら、弟猫は家に来なかった。

 アイツはね、前世で俺の弟だったんだ。

 俺が幸せだったように、弟にも俺と同じように幸せに暮らして欲しいんだ。

 だから俺は、場所を譲ったんだよ。

 俺は兄貴だから、兄貴らしい事してみたくなったんだ。

 弟は、心が満たされてないから、一杯愛情を注いで欲しい。

 お母さんと姉さん猫達で、メチャクチャ愛を注いで欲しい。

 俺は、ココで幸せなんだ。まずまずの暮らしをしてる。

 俺が貰う分の愛情も、弟にあげたいんだ。

 これは俺の我儘だ。でも、猫って我儘だろう?

 お母さん、俺を許してくれ。カッコつけさせてくれ。

 俺、今楽しいからさ。一杯探してくれて、ありがとう。

 大好きだよ、お母さん。


 俺を探さないでくれ。俺は帰らない。>


 カッコつけた兄貴猫君は、家出続行中です(^_^;)

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