空組レター「僕が選んだ事故なのです」ダックスのきー君

ダックスのきー君 享年12歳  事故で旅立つ。


ドッグランで、ハスキーが好きだと話掛けてこられた飼い主さんから、

数年前に愛犬を事故で失っている事を聞いた。

これは・・・飼い主さんのショック、悲しみが大きいし、

ずっと心に負の感情を持ち続けている事が、容易に想像できた。

だけど・・・だけど・・・犬の気持はどうだったのか?

これは聞かずにいられない!

飼い主さんの了承を得て、呼んでみた。

「きー君、こんにちは」


<はーい!あのね、僕はね、とーっても幸せだったの!!

 事故死は、飼い主に多大なショックを与える事は判ってた。

 判ってた・・・けど!3年の長患いで逝くのは嫌だったんだ。

 僕には、事故か長患いかの2択しかなかった。

 3年の病気でかかる治療費で迷惑をかけるのも嫌だったし、

 何より徐々に体が弱って、立てなくなって、毛並みもボサボサになって、

 やつれ果てた姿になりたくなかった。

 だから、ショックが大きいのは判っていたけど、事故で旅立ったんだ。


 お母さん、事故は僕が選んだんだ。自分を責めなくていい。


 お母さん、思い出して。

 僕は旅立つ前日まで、元気一杯で、毛艶キラッキラでイケメンだったでしょう?

 旅立つ直前まで、幸せで笑っていたでしょう??

 僕はその幸せな気持ちのまま、キラッキラの毛艶のイケメンの姿で、

 旅立ちたかったんだ。

 やつれ果てた姿に、なりたくなかったんだ。>


ここで、飼い主さんが思い出す。

最後に旅立つ時、きー君が笑っていた事を。


<そう!あの時僕は、

 お母さん、ありがとう!お姉ちゃん、ありがとう!

 僕はとっても幸せだった!!

 僕は、僕の幸せな気持ちを伝えたくて、笑って旅立ったんだ>


あの時の笑顔には、きー君の精一杯の感謝の気持ちが込められてたんだね。


<良かったぁ~~。お母さんとお姉ちゃんが、僕の笑顔を思い出してくれて。

 ね、判ったでしょ?僕は幸せだったんだよ。

 事故は、僕が選んだんだ。お母さんは自分を責めないで。>


きー君の気持ちを知り、自分を責めていた心が薄れていく飼い主さん。

同時に、イケメンのきー君の笑顔を思い出します。

自分の笑顔を思い出して貰えてご機嫌なきー君は、更に語ります。


<お姉ちゃん、夜部屋で勉強してると、怖くなるでしょ?

 僕が机の後ろのベッドにフセして、いつも見守ってるよ>


「!!!!

 時々気配を感じるんです!たまに匂いも・・・幽霊かと思ってた!」


<アレ、僕~~( ̄▽ ̄)

 お部屋で気配や匂いを感じたら、それは僕だよ。

 僕はいつも、ベッドの上に居て、お姉ちゃんを応援してるよ。

 お姉ちゃん、頑張れ!お空からいつも応援してるよ!>


きー君の気持ちを知り、応援されてることも判り、笑顔になった飼い主さん達。

「今日、偶然出会えてよかったですね~~♪」と話せば、


<僕がオバサンに気づくように、

 あっちを見ろ~~!って、一生懸命に念を送ったんだよ。

 頑張った甲斐があったよ~~♪>


そっかぁ~。この出会いは、きー君が仕組みましたか( ̄▽ ̄)

きー君はずっと、飼い主さんに自分の気持を伝えたかったんだね。

もう大丈夫!きー君の飼い主さんは、きー君の笑顔をしっかり思い出しましたよ。

キラッキラの毛艶のイケメンきー君の姿を思い浮かべて、笑顔ですよ。


飼い主さんの笑顔が、旅立ったペット達の願いです。


 

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